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2011.03.22

「やわら侍・竜巻誠十郎 桜吹雪の雷刃」

 将軍吉宗の久能山参詣が迫る中、鉄砲方の旗本・井上家の嫡男が何ものかに誘拐された。その情報が目安箱に投げ込まれたことから、目安箱改め方・竜巻誠十郎は、相棒の勘次とともに探索に乗り出す。しかしその背後には、宿敵・尾張藩の嶋信綱の影があった。恐るべき陰謀に挑む誠十郎の運命は…?

 表の顔は日雇い仕事に精出す浪人、しかして裏の顔は、目安箱に投げ込まれた匿名の訴えを極秘に調査する目安箱改め方、竜巻誠十郎の活躍を描くシリーズもこの第七弾で第一部完。
 これまで死闘を繰り広げてきた尾張藩書院番頭・嶋信綱との最後の戦いが繰り広げられることとなります。

 ある晩、何ものかに拐かされた鉄砲方を拝命する名門旗本・井上家の嫡男。この事実が公になれば、士道不覚悟でお咎めは必至…と、犯人を追って奔走する井上家ですが、しかしこの報は既に目安箱へ。
 吉宗の久能山参詣前という時期に、この事件が起きたことを重く見た御用取次・加納久
通は、誠十郎に調査を命じるのですが、しかし身代金の引き渡し現場に、拐かし無関係の若者三人組が現れたことから、事件は混迷の度合いを深めることに。

 果たして拐かしの犯人は誰なのか。三人組は何のために利用されたのか。何故目安箱に事件のことが投じられたのか。そして何よりも、この事件が吉宗とどう絡むというのか――
 絡み合った謎の果て、将軍位を狙う尾張藩と、彼らと手を組んで自分たちの復権を狙う幕府内の《結社》と、誠十郎は対峙することになります。


 本シリーズは元々、時代活劇にミステリ的要素を多分に加えた点が最大の魅力と感じてきましたが、残念ながら、ここ数作はそれが薄れていた感がありました。
 しかし第一部完の本作においては、それがグッと盛り返した印象があります。

 上に挙げた様々な謎のピースが徐々にまとまり、一つの巨大な陰謀として浮かび上がる様は、まさにミステリの快感というべきものでしょう。
 そしてそこから雪崩れ込んでいく、死闘に次ぐ死闘というに相応しいクライマックスは、柔術を用いた主人公のアクションという本作のもう一つの売りを最大限に生かしたものであると感じます。

 もっとも、人情ものパートの出来が今ひとつであったり、シリーズを貫く謎が「冥土の土産に教えてやろう」で語られてしまったりと、残念な部分はあるのですが…

 しかし本作が、これまでシリーズを追いかけてきた身にとって、一つの到達点であることは、間違いありません。
 第一部完といっても、まだまだ大いに気を持たせる結末ではありますが、男はひとり道をゆく。いつか飄然と誠十郎が帰ってくる日のことを楽しみにしようではありませんか。

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