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2011.04.13

「快傑ライオン丸」 第24話「ライオン飛行斬り対怪人トビムサシ」

 獅子丸たちの前に立ち塞がるトビムサシ。しかしドクロ忍者の横槍で小助が傷を負い、トビムサシは去って行く。盲目の娘・百合の家に身を寄せる獅子丸たちだが、百合は、トビムサシを怪人と知らず慕っていた。再度の一対一の決闘の末に相打ちとなり、互いに特訓に励む獅子丸とトビムサシ。三度目の勝負でついにトビムサシはライオン飛行斬りを破り、金砂地の太刀を折るものの、刃が背中に刺さり、百合の前で息絶えるのだった。

 開幕早々、武蔵様、と言って嬉しそうに団子を差し出す盲目の娘。その脇では、恐怖と驚きの表情を浮かべた男が。
 この男が武蔵様? と思えば、男に語りかける声が。どうやら男は「武蔵」の姿を見て恐れている様子ですが…
 そして「武蔵」は冷酷にもサーベルで男の両目を潰して「お主も目の見えない者の苦しみを知れ」と言い放ち、しかし、娘のところに戻って告げる言葉は「ひな鳥が巣から落ちて鳴いていたので巣まで戻してやったまで」という優しくも気障なもの。
 そして地に落ちたその影は――

 と、非常に衝撃的なアバンタイトルの今回は、その衝撃を最後まで裏切ることのない、実に印象的なエピソード。
 己の姿を見ることのない盲目の娘・百合に紳士的に接する怪人トビムサシと、そんなトビムサシを立派な侍と信じて慕う百合と…そんな二人の姿を中心に描かれる傑作です。

 基地を守るため、そして百合に南蛮医術の治療を受けさせるため、獅子丸に挑戦するトビムサシ。
 第一ラウンドでは、ドクロ忍者の勝手な加勢に怒り、勝負を預けて撤退するトビムサシ(ここで「何だアイツ、かっこつけやがって」と身も蓋もない小助がおかしい)。
 改めて挑戦状を叩き付けてきた第二ラウンドでは、ライオン飛行斬りを繰り出したライオン丸と相打ちになります。

 ここで互いに容易ならざる相手と痛感した二人は、それぞれ特訓を開始するのですが…相手の必殺技を打倒する、という普通であればヒーローポジションがトビムサシというのが面白いのですが…

 そして第三ラウンド――の前に、正々堂々の勝負にこだわって命令を聞かないわ、百合を戦いに巻き込むのを拒むわと、扱いにくいトビムサシに言うことを聞かせるため、百合を捕らえてしまうドクロ仮面。
 しかし沙織によって百合は救い出され、後顧の憂いはなくなった(ちなみにドクロ仮面はトビムサシに一発斬首)二人は最後の対決に臨むことに…

 お互いの特訓の成果を知り、慎重に対峙する二人。しかしトビムサシに追い詰められたライオン丸はついに宙に舞い、それを追うトビムサシの剣はライオン丸の金砂地の太刀を折った!
 そのまま着地したトビムサシの剣は、ライオン丸を貫いたかに見えましたが…しかし折れた太刀は、トビムサシの背に――

 トビムサシは獅子丸に次の目的地の地図を託して逝き、百合は目が見えなくてもいい、そうすればムサシが毎日違う姿で会いに来てくれると語るのでした。


 盲目の無垢な娘と、己の真の姿を隠した男との触れあいというのは、それこそ握手が重要な意味があるという点で共通項を持つチャップリンの「街の灯」のように、一種定番のストーリーであります。

 しかし本作においては、男の側が醜い(たぶん今回の造形は狙ってのものでしょう)怪人であるという設定。
 そしてその怪人が彼女のために――それはおそらく彼女との別れを意味するのですが――主人公打倒を目指し、そのために特訓まで行うという点で、もう本作以外では描くことのできない独自性を獲得することとなったと言えるでしょう。
(トビムサシが単なる心優しい怪人ではなく、冒頭などに見られるように、やはり基本は怪人というのもまた面白いのです)

 お互いの求めるものがすれ違った故の悲劇的な――しかし美しい――結末も含めて、まちがいなく本作の(そしてもしかしたら特撮時代劇そのものの)一つの到達点とも言える今回のエピソード、とにかくすごいものを見せてもらったと、嘆息するばかりです。

 さらに言えば、ライオン丸の変身アイテムが破壊されてしまうというヒキまで用意されているわけで…いやはや、凄いものを見せてもらったとしか言いようがありません。


今回のゴースン怪人
トビムサシ
 空を自在に滑空し、サーベルを武器とする怪人。盲目の娘・百合に正体を隠して接している。
 三角山を守り、百合に目の治療を受けさせるために獅子丸と対決。特訓の末、金砂地の太刀を折ってライオン飛行斬りを破るが、折れた太刀が背中に刺さって逝く。


ドクロ仮面
 三角山を守るドクロ忍者のリーダー。口元の開いた仮面をつけて紫の頭巾をかぶり、茶筅髷の髭面の男。
 思い通りに動かないトビムサシに業を煮やし、百合を攫って戦いをけしかけるが、沙織に百合を救出され、トビムサシに一刀のもとに首をはねられる。


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コメント

当時、雑誌『冒険王』にライオン丸の漫画が連載されていて、先にこの話のストーリーを知っていても面白かった記憶があります。私は西洋剣使いという事で「鼻のシラノ」を連想しましたが・・・。冒頭のシーンで「ひな鳥・・・・」を聞いて「鳥はお前じゃ。」とツッコミを入れた記憶も(笑)。

投稿: ジャラル | 2011.04.13 22:36

いや、まさに快傑の傑作のひとうでしょう。時々、人間的な者がでてくるゴースンの怪人。しかし百合が、ついに眼が
治らぬまま、終わってしまったのが何とも悲しい。ところで気になったのは、ドクロ仮面。書籍だと、ゴースン島第二守備隊長の肩書つき。ゴースンから直接支持を受けたり、トビムサシにタメ口、挙句の果て百合を人質にとり、トビムサシに対決を強要(デボノバをほうふつさせる)....等々かなり異色のドクロ忍者の一人です。このあたりの敵の人間関係?も面白かったです。

投稿: エージェント・スイス | 2011.04.18 21:54

ジャラル様:
いや本当によくできたエピソードでした。
ひな鳥の件は、自分のことも踏まえて言っているのだと思っております。

エージェント・スイス様:
まったく同感です。
百合の眼については、獅子丸がはっきりと自分たちの無力さを認めてしまうのも印象的でしたね。

ドクロ仮面は…今回最大のとばっちりだと思います。悪の組織の人としては何一つ間違った言動ではないのに(笑)

投稿: 三田主水 | 2011.04.23 22:57

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