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2011.04.17

「麗島夢譚」第3巻

 「COMICリュウ」という雑誌は、往年の「リュウ」誌の名前を受け継ぎつつ、新しいのか古いのかよくわからない良くも悪くも混沌とした誌面が実に面白いのですが、この「麗島夢譚」は、ある意味それを体現しているようにも感じられます。

 この第3巻の表紙も、超ハイレグの褌一丁に日本刀を構えた青年と、どう見ても忍者服を着込んだ○ャア(作中で言っているのだから仕方ない)というもので、これだけで作品の内容を判断するのは実に困難であります。

 さて、贅言はさておき――流れ流れた末に、スペイン軍に身を寄せることとなった海賊松浦党の青年・伊織と、実は生きていた天草四郎、そして老中の密命を受けた混血の忍びミカ・アンジェロ。
 なりゆきから、麗島を巡って激しく争うスペインとオランダの戦に加わることとなった三人ですが、しかし戦況は圧倒的にオランダ有利…
 それを覆すべく、伊織とミカはそれぞれオランダ船に潜入し、船を爆破せんとすることになるというのが前半のお話であります(表紙のコスチュームは、実はこの時の衣装)。

 しかしその捨て身の戦法が大変なことに…いや本当に大変なことになるのですが、これを何と評すべきか。
 俺は一体何を読んでいるのか!? というかそもそも主人公がそれでいいのか!? と大いに惑乱されたのですが――これは是非実際にご覧になって一緒に戸惑っていただきたいものです。
 第2巻で登場した人物も、伊織が本当にどうしようもないことをやっている間に退場し、いやはや、この悲喜劇をどう捉えるべきか。

 と、そんな大波乱の海戦も、第三勢力・明の登場で水入りに――そしてその明の提督こそは、かの鄭芝竜。
 商人(海賊)から身を起こして明の提督となった人物であり、日本人女性の間に息子を儲けるなど、日本とも縁浅からぬ人物ですが…

 何と本作においては、その息子・鄭森は、実は少年時代に病で亡くなっていたという設定。
 しかしそれでは鄭森、後の国姓爺・鄭成功の存在が…と思っていたら、何ととんでもない人物が鄭森とうり二つ、息子恋しさに芝竜は「彼」を鄭森の再来と迎え入れることとなってしまいます。

 いやはや、メインキャラたちが流れのままに流されまくる本作ではありますが、その中でも最も己を見失い――というより既にその存在は抹消されているわけですが――流されていた「彼」に、こんな役割が与えられるとは。
 全く、色々な意味で驚かされる作品であります。

 さて、「彼」が思わぬ運命の悪戯から、ビッグネームを受け継ぐこととなった一方で、相変わらず振り回されまくる伊織とミカ(あと何だかわからん奴)。
 もうこうなったら彼らの道がどこへ行くのか、難しいことは考えずについて行くしかないようです。それもまた一興――

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