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2011.04.09

「戦国妖狐」第5巻&第6巻

 時は戦国、人間好きの妖狐・たまと人間嫌いの術師・迅火、そして農民上がりの剣士・真介の旅を描いてきた「戦国妖狐」も、今回紹介する第5巻・第6巻で第一部完結となります。

 あやかしや亡霊など、人ならざる者たち――闇(かたわら)を狩ることを使命としつつも、外法の技に手を染め、その闇の力を取り込んだ者たち…霊力改造人間を生み出す断怪衆。
 それぞれの理由から、断怪衆総本山に向かうこととなった三人は、総本山を守る断怪衆四獣将の残り三人に挑むこととなります。

 しかし敵はあまりに強大、三人は山の神の力を借りて修行に臨んで…というのが第4巻までのお話でありました。

 それに続く第5巻・第6巻は、バトルまたバトルの連続!
 迅火vs四獣将「龍」の霊力改造人間・神雲、迅火vs四獣将「虎」の霊力改造人間・道錬、真介vs全身これ武器の四獣将・烈深、そして迅火vs精霊転化を操る断怪衆僧正・野禅――

 私は本作を読むたびに、「この作品が戦国時代を舞台とする必然性は…」などと考えてきましたが、いやはや、ここで繰り広げられるド派手で、そしてそれぞれに様々な趣向を盛り込んだ法術合戦、武術合戦を見せられると、小さなことを気にしていただけでは…とすら思わされます。

 特に、第6巻で描かれた番外戦とも言うべき断怪衆総本山(それ自体が巨大な闇)と○○の戦いは、もはや時代もので描かれるバトルの極北…と言いたくなってしまうほどで、こういうのが大好きな人間としては大いに楽しませていただきました。


 しかし、本作は、単に理屈抜きに暴れ回るバトルものにとどまっているわけでは、もちろんありません。

 戦いに次ぐ戦いの中で、迅火が、真介が感じ取った、辿り着いた一つの真理――それは、人と闇に、どれほどの差異があるのか、その答えであります。
 違う道を辿りながらも、同じ答えに辿り着いた二人ですが、しかしその道の違いゆえでしょうか…二人の運命は、それぞれに変転していくことになります。

 そして、迅火の選んだ道は、あまりに大きな代償を彼に求め…そして、物語は第一部の幕を下ろすこととなります。

 これまでに描かれた謎、投げかけられた問い――その全てに、第一部で答えが与えられたわけではありません。
 いや、何よりも、第一部ラストで描かれた迅火の姿は、本作における最大の問いかけを、投げかけているとすら言えるかもしれません。

 果たしてこの後の物語がどう転んでいくか、全く先の見えない本作。
 しかしそれだからこそ、早く先が読みたい、先を知りたいのだと、強く強く感じます。


 バトル描写の面白さと、ドラマ展開の深みと――この両輪のバランスを取ることでは実に巧みな作者だけに、安心して先を待つこととしましょう。

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