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2011.05.30

「猛き黄金の国 柳生宗矩」第3巻

 家康・秀忠・家光と徳川幕府の基盤を作った三人の将軍に仕えた剣術指南役・柳生宗矩の生涯を描いた「猛き黄金の国 柳生宗矩」の最終巻、第3巻が発売されました。
 いよいよ人生最後の刻を迎える宗矩の胸に去来するものは…

 さて、これまで同様、舞台とする時代を次々と変えながら描かれてきた本作ですが、それはこの最終巻においても同様であります。
 しかしながら、本作で描かれるのは、家康亡き後――秀忠、そして家光の時代、戦国の戦を知らぬ世代が育ち始めた時代であります。

 ある時は、家光に過剰な寵愛を受けた我が子・友矩の始末。
 ある時は、最後の豊臣恩顧の大名にして戦国の気風を遺した福島正則の仕置き。
 そして、共に家康に仕え、徳川幕府の樹立に奔走した盟友とも言える本多正純の処断。

 周囲に非情の鬼と誹られ、あるいは恐れられようと、徳川政権の安定のために私情を捨て、ただひたすらに己の信ずるところを貫いた宗矩の姿が、ここでは描かれていきます。

 しかし、これはこれで面白いものの、いささか真っ当すぎる展開では…と思ってしまったこちらの気持ちを見透かしたように、本書の後半で展開される、宗矩最大最強の敵との対決が凄まじい。
 その敵の名は伊達政宗、言わずとしれた奥州の独眼竜であります。

 天下が秀吉、そして家康のものとなった後も、天下を窺う行動を見せ、周囲からも警戒されていた政宗。
 しかし、政宗が家光をよく支え、そして家光も政宗に敬意を持って接していたこともまた、後世に知られています。

 本作では、この政宗の変化の背後に、宗矩の存在を描き出します。

 もちろん、そうそう簡単に独眼竜が人に膝を屈するわけがない。共に戦国を生き抜いた者同士、両者の対立は極めて荒っぽい――などという域を超えた命のやりとりとなります。

 宗矩暗殺の刺客を送った政宗に対し、宗矩が取った手段とは――
 日頃慎重な宗矩に似合わぬその豪快極まりない手段は、まさに本作のクライマックスに相応しいもの。ああ、宗矩もやはりいくさ人であったか…と感心するとともに、それを真っ向から受けて立つ政宗の人物像も面白く、それが史実での政宗のある行動に繋がっていく構成には感心いたしました。


 そして宗矩に訪れる最期の刻――ここで宗矩の生の締めくくりを台詞で見せてしまったのは残念ですが、しかし、非情に徹した宗矩が、最後にある人物に対して人としての顔を見せるというのが心憎い。
 様々な時代を通じて、宗矩の、宗矩の守ってきたものの姿を描いた本作にとって、実に美しい締めくくりであったかと思います。
(しかしラスト数ページは、明らかに蛇足ではないかと思うのですが…)

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コメント

あのラストは「猛き黄金の国 岩崎弥太郎編」に続く・・・という意味なのかな?と思っています。昨年の大河ドラマで弥太郎が「この世で一番嫌いな男」と言っていた方が出てましたし(笑)。

投稿: ジャラル | 2011.06.01 21:30

ジャラル様:
あ、そういえば弥太郎編があったんですよね(笑)
言われてみればそんなところに繋がりが

投稿: 三田主水 | 2011.06.08 00:21

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