「新選組刃義抄 アサギ」第4巻・第5巻
この春からNHK BSプレミアムで放映されている時代劇は「新選組血風録」ですが、この作品と、同じ新選組を題材とした「新選組!」さらに「龍馬伝」の時代考証を担当しているのは同一人であります。
その人物――山村竜也原作の新選組漫画「新選組刃義抄 アサギ」の第4巻・第5巻です。
青雲の志を胸に京に上った近藤・土方・沖田ら試衛館の面々の前に立ち塞がるのは、暗躍する土佐の人斬りたちに長州の陰謀、そして仲間であるはずの芹沢一派…
特に第3巻までは、芹沢一派の横暴に長州側のスパイたる佐伯又三郎&斎藤一の暗躍が絡み、実に重苦しい展開が続いており、こちらも読んでいてなかなかにきついものがあったのですが…
第4巻では長州の陰謀は少しお休み、メインとなるのは試衛館組と芹沢一派の確執――なのですが、その切り口がなかなか面白いのです。
生真面目すぎる性格が災いして、芹沢が押し借りした大坂商人・平野屋への百両の返済と、新選組の隊服(羽織)調達を押しつけられた近藤。
上洛した将軍の警護という晴れ舞台までにそれを達成できなければ、近藤は平隊士に降格!? と、これはこれでもちろん一大事なのですが、近藤と試衛館組が必死にアルバイトに勤しむくだりなど、それまでの展開に比べればずいぶんコミカルな展開で、ちょっと一息と言ったところか…というのが第4巻の展開でありました。
が、それまで近藤や沖田たちが可愛がってきた八木家(新選組屯所)の少女・なつが病に倒れたことで、状況は大きく変わってきます。
これまで溜め込んできた金を、なつのためにためらいなく使うことを決意した近藤――
己の身分がかかった金を、それも一人の町娘のために使うというのは、普通の武士であれば考えられませんが、そこで己のことと義を天秤に掛けるでは、男・近藤勇の名がすたる。
というわけで、第5巻の前半では新選組の羽織を巡る騒動が思わぬ方向に向かうのですが、この辺りの展開が実にうまい。
芹沢が平野屋と悶着をおこしたのも、近藤が八木家のために働いたのも、そして何よりも新選組のあの隊服の存在も、いずれも史実ではありますが、それを絡み合わせ、この形で結実させるか! と、心より感服いたしました。
そしてついに近藤たちの身を飾るダンダラ模様の羽織。その色はもちろん浅黄色――本作のタイトルであり、そしてその由来は…
ここで「第一部完」の字が出てもおかしくない盛り上がり、いや素晴らしいものを見せていただきました。
さて、第5巻の後半から前面に現れるのは、しばらく物語の中心から遠ざかっていた岡田以蔵。
以蔵が桂小五郎(本当にどこでもロクなことをしないな…)の奸計により、姉小路公知を狙うのに対し、新選組はその公知の警護に当たることに…
本作ではライバルとして描かれてきた総司と以蔵が再び激突する時、何が起こるか?
そして、相変わらず総司にコンプレックスバリバリの平助の行方は。
アサギの羽織をまとった新選組の歩みからは、まだまだ目が離せません。
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