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2011.05.23

「伴天連XX」第3巻

 左手にないとごぉんとを持つ剣豪・無命獅子緒と、あの聖人の子孫にして禁断の知識を持つ怪人・ザビエルX世らが、旧支配者を向こうに回して大活劇を繰り広げる「伴天連XX」の第3巻にして最終巻の登場です。

 第3巻の前半で描かれますは、第2巻を受けての「肉人編」の続きであります。

 肉人=ぬつぺふほふに旧支配者の影を感じ取り、肉人が出現したという駿府国府中に向かった獅子緒一行は、そこで人の傷を癒すというぬつぺふほふの湯を巡る騒動に行き当たるのですが…
 そのぬつぺふほふの正体こそは、旧支配者の一、闇に棲むモノ・ニョグタ。そしてニョグタの目的は――駿府の地下に眠る旧支配者ウボ=サスラの復活!

 かつて旧神に敗れ、知性を失って封印されたウボ=サスラ。そのウボ=サスラが、何故駿府の地下に? というのは置いておくとして、復活すれば全ての生物が胎内に帰するという旧支配者に挑まんとする獅子緒たちですが、そこに平賀源内=ナイアーラトテップが!
 かくて三体の旧支配者という絶望的な状況下での戦いに向かう獅子緒の運命や如何!?


 というわけで、山を割き天空にそびえ立ったウボ=サスラに挑む獅子緒、という時点で既に時代ものの枠をブチ抜いていますが、ここから先の戦いは、そんな驚きもまた遙か彼方に置いてけぼりになりそうな驚天動地の展開の連続。
 えっ、あの××××がこんなところに、ここであの×××が!? と、呆れるのも愚かな超展開の数々、本地垂迹という言葉がこんな形で使われるとは、いやはや空前にして絶後ではありますまいか。

 そしてその後に続く最終章「夢国編」も、その勢いのまま展開されます。
 獅子緒の戦いの目的である、シャンタク鳥にさらわれた姫がいるというドリームランド。そこで獅子緒たちが、というより読者が見たモノは――

 いやはや、もはやジャンルの枠も軽々と飛び越えた展開には、驚く…というより「愕然」という表現が似合うかもしれません。


 しかし、完結した後に振り返ってみれば、本作――特にこの第3巻――は、一発ネタの連続に終始した、という印象が強くあります。
 良く言えば意外な展開の連続ですが、悪く言えば行き当たりばったりと御都合主義の連続――
 本作で「何故」と問うのも野暮ではあるかもしれませんが、しかし最低限の筋は通して欲しかった、と強く思います。

 さらに言えば、夢国編の展開が象徴するように、本作を日本の、江戸時代で描く必然性がどこまであったのか…
 その、本作のキモと言うべき部分が、結局最後まではっきりと見えてこなかった、というのが残念でなりません。

 旧支配者を向こうに回してのヒーローアクション、という意味では実に面白い内容であっただけに、そして登場する異形のモノたちのデザインもかなり良かっただけに、神話ファンにして時代ものファンとしては、惜しい…とつくづく思った次第なのです。


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