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2011.06.06

「石影妖漫画譚」第3巻 死闘、なおも続く

 妖怪を実体化させる毛羽毛現の筆を持つ絵師・烏山石影を主役に据えた伝奇アクション「石影妖漫画譚」の第3巻が発売されました。
 第2巻より始まった妖の力を持つ凶剣士・入間との戦いは、なおも続きます。

 身に寸鉄を帯びぬ状態から相手を斬り、なおかつ相手の身からは一滴の血もこぼれないという怪人・入間亜蔵。
 江戸の剣術道場を次々と襲い、凶行を繰り返した入間を追う火付盗賊改ですが、しかし逆に犠牲者を出してしまう始末であります。

 それもそのはず、入間の体は、いかなる技によってか、妖怪・鎌鼬の力を宿し、体内に無数の刃を隠し持った状態。
 あたかも刀を鞘から抜くように、己の指を、腕を引き抜き、そこから現れた刃で相手を薙ぐ――それが入間の能力なのでした。

 第2巻では、部下を殺され、入間への復讐を果たさんとする若き火盗改長官・中山騎鉄と組んだ石影が、入間と対峙するところまでが描かれましたが、この入間が実にしぶとい。

 金で殺し屋を雇うという、己の職業にあるまじき手段をもってしても入間を討たんとする中山、中山の師でかつて石影に助けられた老剣豪・武幻、そして己の能力の限界である三体の妖怪を繰り出した石影――
 これだけの陣容でもってしても、入間はその場を逃げおおせてしまうのでありました。

 さて、この第3巻においては、石影はかなり後ろに下がり、中山と、入間がほとんど主役状態であります。

 快楽殺人鬼という側面と、臆病で慎重な小心者という側面を持つ入間の逃避行と逆襲。
 その入間を討つため、そして力を使い果たした石影を守るため、入間に一騎打ちを挑む中山。
 敵味方、二人の剣士の激突が、この巻のクライマックスと言って良いでしょう。


 正直に言ってしまえば、この辺りはちょっと引っ張りすぎの印象もあり、また、その心中にまで踏み込んでいるようでいて、結局薄い入間の描写など(入間を匿った娘とのエピソードは、ほとんどギャグ状態)、食い足りない部分はまだまだあります。
 とはいえ、一種のバトルものとしては悪くありませんし、石影以外のキャラクターが動くことで、物語に膨らみが出てきたことは間違いありません。

 何よりも、人間に対しては冷笑的な態度を常に見せていた石影が、仲間の死闘に報いるため立ち上がるというシチュエーションは盛り上がります。

 ちょっと驚いたことに、このエピソードはこの巻でも終わらず、次の巻に続くのですが、更なる敵の存在もほのめかされていることもあり、ここまで来たら、バトルものと妖怪人情もの(?)をどこまで両立させることができるか、挑戦していって欲しいものであります。

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