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2011.06.14

「御指名武将真田幸村 かげろひ KAGEROI」第3巻 宿敵との対面!?

 超虚弱体質の真田幸村がその知恵と推理力で難事件を解決してゆく「御指名武将真田幸村 かげろひ KAGEROI」の第3巻であります。
 今回は珍しく(?)一冊丸々ドシリアスな展開、これまで陰に隠れていた、あの人物もついに幸村の前に姿を現すのですが…

 この巻で描かれるのは、第2巻から続いての、豊臣秀次の隠田を巡るエピソードであります。
 秀次が密かに隠していたという田の存在を調べに向かった幸村がたどり着いたのは、その田を耕す農民たちの村。
 秀次が、口封じの為に村を滅ぼそうとするのを察知した幸村は、秀次の軍勢を向こうに回し、非力な村人たちを動かして挑むことになるのですが…

 田を作りつつもその存在を隠し、租税を収めない隠田は、それこそ稲作が始まり、そして租税を納めるようになった頃から存在するであろう、ある意味普遍的かつ、大げさに言えば租税制度を揺るがせにするものであります。
 当然、この舞台となる時代にも存在したこの隠田ですが、しかし、ものがものだけに、かなりマイナーな存在。それをこうして物語の題材に――それも、隠田を作る農民の視点を交えつつ――据えてきたのは、なかなかに面白い試みであり、評価できます。


 さて、幸村の奇策が功を奏し、脱出に成功したかに見えた幸村と村人たちですが…しかし、今回のエピソードは、ある意味ここからが本番であります。
 幸村の策の、さらに裏をかくかのような策の数々に、傷つき、分断され、ついには捕らわれてしまう幸村たち。

 その策を立て、幸村たちを苦しめるその人物こそは――幸村の兄・真田信之。
 第1巻から黒幕的に幾度も顔は出していましたが、作中で幸村と対面するのはこれが始めてであります。

 信之というと、時代ものでは幸村や父・昌幸の割を食ってひどい目に遭うor影の薄い苦労人という印象が強い人物。
 しかし本作の信之は、知謀(というより奸智)は幸村を上回り、そして弟をいたぶることに快感を感じる一種の変態として描かれます。

 なるほど、幸村が超虚弱体質の草食系である本作であれば、信之がこうした造形になるのも不思議はない…かどうかはともかく、本作の幸村の敵役としては、なかなかに相応しいキャラクター造形であると言えます。


 …が、ここでも残念なのは、作者の画力・表現力。この辺りが(言いたくはありませんが)相変わらず今ひとつ。
 特に、この辺りが原因で、作者がおそらく意図しているの以上に、信之がただただ不愉快なキャラクターに見えてしまうのはいただけません。
 この巻の後半は、ある意味延々と幸村の虐待描写が続くようなものなのでなおさら――

 人物描写で一皮むければ、万人にお勧めできる作品になるように思うのですが、まずはこの巻でも決着がつかなかった隠田の一件を、どのように終わらせるのか。それを見届けるほかありますまい。


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