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2011.07.24

「義風堂々!! 直江兼続 前田慶次酒語り」第2巻 またもやの秘密…

 「コミックゼノン」誌に移行して仕切り直しとなった「義風堂々 直江兼続」のいわば第2シリーズ「前田慶次酒語り」の第2巻であります。
 第1巻から引き続き、「花の慶次」でも描かれた上杉家の佐渡平定のエピソードが、ここでも描かれることとなるのですが…

 「花の慶次」の方ではそれなりに引っ張られた佐渡攻めですが、本作では、戦自体はわずか1話で終了。
 これには前田利家ならずとも驚きたくなるところですが――もちろん、全く同じことをされても困るのですが――しかしむしろ戦後処理の方で数話使われているというのは、むしろ本作らしいと言えるかもしれません。

 出来レースで戦いを長引かせ、上杉家の権威失墜、さらには秀吉による領地替えを狙っていた本間家。
 その仕置きにおいて、兼続が見せたものは――上杉謙信生き写しのオーラ!
 …という展開には、正直「またか」という印象で、ひっくり返りかけました。

 本作において最大の秘密である、兼続が謙信の子という設定ですが、しかし、本作においては、その秘密を知る者が異常に多い。
 この巻の後半に登場する大坂方のキャラクターのうち、前田利家以外――秀吉、三成、利休、乱裁道宗の全員が、その秘密を知っているというのに見られるように、あまりに便利に使われすぎているなあ…という気がしてなりません。

 さらにその様子を見ていた上杉方の藤田信吉までも、その秘密に気付きかけて…という状態なのですが、ここはちょっとうまい切り返しがあったので、これはこれでOKでしょう。
 そしてその切り返しの元祖(?)となった人物、兼続に協力した佐渡の歩き巫女の束ね・清音尼にまつわる秘密も面白く、何だかんだで、佐渡攻め編の〆自体は悪い印象ではありません。


 しかし、まだまだ上杉家の危機は続きます。
 上杉家を狙う秀吉の次なる手段は、上杉家に身を寄せる前田慶次を自分のもとに呼び寄せ、挑発して反抗させ、その責任を上杉家になすりつけようというもの。

 この、慶次の秀吉謁見は、「花の慶次」でも序盤の山場という印象でしたが、そこに上杉家の浮沈を絡めるというアイディアは面白い。
 そして、それに対し、自分と慶次の命を賭けて秀吉をブッ潰し、後は再び戦国の世になっても知らんぜ…という兼続の姿は、いかにも隆慶先生の描くいくさ人的なタチの悪さで、実にいい感じであります。

 考えてみれば、権力者によるお家取り潰しの陰謀に対して、かぶき者が生死を超えた無茶苦茶な手段で立ち向かうというのは、隆慶先生の未完の名作「死ぬことと見つけたり」のシチュエーション。

 兼続と慶次が、いかに「死ぬことと見つけたり」してくれるのか?
 「花の慶次」のリメイク的な展開となってきた本作ですが、しかしここで意外なひねりを加えてきた…そんな印象であります。

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