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2011.07.07

「信長の忍び」第4巻 まさかまさかのシリアス展開!?

 信長の理想に共鳴し、彼に仕える無敵のくノ一・千鳥の眼を通して、コミカルに信長の天下布武の姿を描く四コマ漫画「信長の忍び」の第4巻は、まさかまさかのシリアス展開であります。

 千鳥の活躍で北畠具教を下した信長が、次に標的としたのは、越前の朝倉義景。信長得意の電光石火の進軍で、朝倉の命運も風前の灯火…と思いきや、さにあらず。
 近江の浅井長政が朝倉救援に動き、背後を突かれた形となった織田軍は、一転、壊滅の危機に見舞われることとなります。

 かくて、撤退を余儀なくされた織田軍。その撤退を助けるため、秀吉は決死の覚悟で殿軍を務めることとなります。
 これぞ、戦国史に名高い撤退戦、金ヶ崎の退き口…

 というわけで、本作では秀吉軍に千鳥が加わり、金ヶ崎の戦いを経験することとなるのですが、さしもの千鳥も、圧倒的に不利な中での撤退戦という状況を、一人で覆すわけにもいきません。

 しかも、秀吉軍に迫るのは、朝倉軍でもその名を知られた二人の猛将、真柄直隆と山崎吉家。
 秀吉が、半兵衛が、小六が、半兵衛が、そして千鳥が、それぞれ死力を奮う戦いが描かれるのですが…

 って、史実通りとはいえシリアス過ぎる!
 と、いささか失礼な驚きを禁じ得ない今回。
 まさかにも、ほとんど一巻費やして金ヶ崎の戦いが描かれるとは思いませんでした。

 エピソードの方も、回想という形で既に故人の朝倉宗滴を一話かけて描かれたり、真柄直隆の無双っぷりが存分に描かれたりと(そもそも真柄直隆が漫画で活躍する自体、極めて珍しい――というよりもしかすると初めてでは)ある意味やりたい放題。

 もちろん、シリアスなばかりではなく、四コマ漫画として、ほぼ四コマ毎にオチ・くすぐりを入れ、きっちりと笑わせてくれるというのもすごいことであります。

 元々、四コマ漫画とは思えない――というのは失礼な言い方かもしれませんが――マニアックなネタや、エピソードの処理に感心しておりましたが、今回は、そのどれもが、これまでを上回っていたやに感じられます。

 かわいらしい絵柄の、基本コミカルな四コマ漫画でありつつも、題材とする時代と人物に真摯に取り組み、きっちりと歴史漫画として成立している…
 いやはや、可愛い中に凄まじい業前を秘めた千鳥その人のような、恐るべき作品であります。


 さて、信長と浅井・朝倉の戦いは、まだ緒戦に過ぎません。両者の戦いはこれからが本番であります。
 しかし、言うまでもなく浅井長政は、信長にとっては義理の弟。本作でも冒頭からヒロイン格の一人である市が、彼の元に嫁いでいるのであります。

 既に現代の我々は、この戦いの結末を知っているわけではありますが、それをいかに本作なりに料理してみせるのか?
 この先の展開が楽しみなような、見るのが怖いような…いや、果たして本作がどこまでやるのか、どこまで行くのか、見届けねばなりますまい。


 ちなみに、前巻から実にいい味を出していた松永久秀。
 この巻でも、要所要所で、渋くも「らしい」活躍を見せてくれたのが実に嬉しい。こういうところでも、やはり油断できない本作なのであります。

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コメント

朝倉家の最強武将?真柄直隆は次巻では『戦国BASARA』でも有名なあの「徳川家最強武将」(この漫画では初登場)との一戦が待っています。最強同士の対決、4コマにしとくには惜しいですね~。

投稿: ジャラル | 2011.07.10 14:16

ジャラル様:
いやーもう戦国最強決定戦ですね。主人公の出る幕がないような気もしますが(笑)

投稿: 三田主水 | 2011.07.16 01:21

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