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2011.07.09

「スーパージャンプHigh」歴史特集号(その一)

 つい先日、「ビジネスジャンプ」誌との統合が発表された「スーパージャンプ」誌。その特別編集増刊「スーパージャンプHigh」が発売されました。
 この第1号は歴史特集号ということですが、歴史ものだけでなく、時代もの、伝奇ものと、その内容は様々。今回は、掲載作品の中で、「おっ」と思ったものを紹介しましょう。

「数寄な人 禍霊」(竹谷州史&福内鬼外)
 「大江戸バーリトゥード」の原作者・福内鬼外原作の本作は、茶器に宿る怨念・禍霊と対決する謎の茶人・不昧を主人公とした一編。

 時代劇で一話完結のゴーストハンターものというと、そこに人情ものの要素が入ってくるのはほぼ定番で、その辺りには新味はありませんが、真相で描かれる裏の人情とも言うべきものの黒さはなかなかよろしい。
 作中では「茶碗と話す男」「変態茶人」と散々な言われようの不昧の不気味なキャラクターも、悪くありません。
(しかしこの不昧、実は不昧公のことだったら凄すぎると思ったのですが、さすがにそんなことはありませんでした)

 ただ、事件の規模と登場する禍霊のスケールが釣り合っていない面もあり、人情ものと伝奇もののバランスも含めて、今後の課題というところでしょうか。


「バクチ侍と笑う忍び」(はやかわけんじ)
 輿入れする姫の護衛となった、バクチ以外には無気力な侍が、襲撃してきた刺客の忍びと死闘を演じる羽目になって…という作品。

 いかにも新人らしい勢い重視の作品ですが、最初は偶然の助けで互角以上に戦っていた主人公が、化けの皮が剥がれて一転窮地に。
 自分の任務の虚しさも思い知らされ、精神的にもどん底に落とされつつも、それでも奇策で逆転!
 という展開自体は、ベタではありますが、なかなか楽しめました。

 もっとも、個人的には、侍にも忍びにも、どちらの側にもあまり共感できなかったのですが…


「わたつみの天秤」(吉村拓也)
 ある漁村の心優しき若者が美しい人魚と出会い、互いに惹かれ合うも、周囲の村人たちは人間の醜さをむき出しにして…という、黒いおとぎ話的作品であります。

 人魚を題材とした時代漫画としては、どうしても高橋留美子の人魚シリーズが頭に浮かんでしまうわけで、本作もその域を出ていない(人魚の肉の副作用とか)作品ではあります。
 作品の展開自体も、ほぼ予想できるものでしょう。

 しかし、若者の優しさ――言うまでもなく村人たちの身勝手さ・醜さと表裏一体の「人間らしさ」であります――が、最後の救いの糸を断ち切ってしまう形で、人魚も予想できなかった結末の一ひねりには、意外性がありました。
 ラストページで繰り返される若者と人魚の会話が重く胸に残る、佳品と言えるでしょうか。


 次回に続きます。


「スーパージャンプHigh」第01号(集英社スーパージャンプ特別編集増刊) Amazon
スーパージャンプHigh歴史号 2011年 8/1号 [雑誌]

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