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2011.08.23

「コミック乱ツインズ」2011年9月号

 以前にも触れましたが、最近はなかなかに(私的に)面白い作品が多く、一時期の勢いが戻ってきたように感じられる「コミック乱ツインズ」誌。
 今月は會川昇脚本の「仕掛人藤枝梅安」に、岡村賢二画の「新影狩り」の連載開始と、実に嬉しい内容となっています。

「仕掛人藤枝梅安」(さいとう・たかを)
 冒頭に述べたとおり、今回の脚本は會川昇。これまで二回登場した氏による梅安は、いかにも「らしい」内容でにんまりとさせられたのですが…

 今回物語の中心となるのは、前回登板の際に登場した謎の北町吟味方同心・内村。
 まるで梅安の裏稼業を知っているかのような言動を見せる内村を、同心株の売買を巡る殺人の下手人として仕掛けようとする梅安ですが、事件は二転三転していくこととなります。

 正直なところ、途中までは、今回はちょっとおとなしめかな…と思っていたのですが、しかしその印象は、クライマックスの梅安と内村の対話で、ガラッと変わることとなります。
 梅安に対して内村が語る己の信念…それは、仕掛人とは何か、梅安とは何者なのか? という、核心的な問いかけに繋がっていくのです。
 ジャンルというものの魅力に自覚的でありながら、そこを超えた視点を提示する――如何にも會川昇らしい内容に大満足です。


「新影狩り」(岡村賢二)
 さいとう・たかをの名作「影狩り」を、時代・歴史漫画では八面六臂の大活躍の岡村賢二が描くという、意外といえば意外、納得といえば納得の企画であります。

 「影狩り」は、諸藩取り潰しのために暗躍する公儀隠密「影」を殲滅するために雇われる影狩り三人衆――十兵衛・日光・月光の活躍を描いた時代活劇ですが、本作はその続編ではなくリメイク。
 三人衆の基本的な造形はそのままですが、岡村賢二は冒頭から、それを完全に自分のキャラとして描いており、さすがにこの辺りはベテランと言えましょう。

 十兵衛・月光と日光の出会いから、某藩を巡る影の陰謀と草の悲劇を描く第一回は、エピソード的には水準かと思いますが、痛快なだけではなく苦い後味も実にらしいと感じます。

 「影狩り」の名コピーである「やつらが血の臭いに乗ってやって来た!」が「やつらが血の臭いに乗って帰ってきた!」になっているのにはニヤリ。


「鉄舟 無私の魂」(ながいのりあき)
 ながいのりあきといえば、「がんばれ!キッカーズ」の印象が強いのですが、今回本誌初登場となるこの作品で描くのは快男児・山岡鉄舟の活躍。
 慶喜の命を受けて、江戸での開戦を避けるため、益満休之助と共に駿府の西郷の元へ向かった史実を踏まえた作品ですが…これが実に勢いがあって良いのです。

 最初から最後まで、とにかく走りっぱなしの内容と、作者の躍動感に溢れた絵柄(中村半次郎との決闘シーンのスピード感!)がぴったりとマッチして、その中に浮かび上がる鉄舟の爽やかな男ぶり、そして何よりも等身大の人間としての好もしさが、実に気持ちよく映ります。


「鞍馬天狗」(外薗昌也)
 そして、前回から何やら怪しげな連中が登場して、果たしてどこに向かうのか、(良い意味で)ますますわからなくなってきた本作ですが、今回は杉作の存在に何やら曰く因縁が…という展開。
 未来記(とくればアレでしょう)、光の御子などと不穏なキーワードが登場し、単なる復讐劇を超えた展開が予感されます。

 …と、その予感を裏付けるように(?)実は今回のクライマックスでは倉田典膳と近藤勇が共闘。
 杉作ならずとも「これはすごいことだぞ!!」とすっかり嬉しくなってしまう展開で、原作「角兵衛獅子」で男を見せてくれた近藤のキャラが、意外なところで顔を出してくれたようで、実に嬉しいのであります。


 というわけで、個人的に印象に残った四作品を挙げましたが、これからもこのクオリティを是非維持していっていただきたいものであります。

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