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2011.09.10

「BEAST of EAST」第4巻 待ちに待った…!

 かの大妖・金毛九尾の狐に憑かれた少女・藻と、彼女を追う幼なじみの少年・鬼王丸を中心に展開する何でもありの一大平安幻想奇譚「BEAST of EAST」、その最新刊第4巻が、実に4年ぶりに登場であります。
 待ちに待った、という言葉がこれほど相応しい作品は、そうはありますまい。

 岡本綺堂の「玉藻の前」を下敷きにしつつも、そこに無数のアイディア、ガジェット、キャラクターを投入することで、本作以外のどこでも読めないような唯一無二の世界を描き出す本作ですが、その魔力とも言うべき魅力は、しかしどれだけ時間が経っても健在。
 この第4巻では、いよいよ物語が佳境に入ったということもあり、手にした途端、前巻からのブランクも忘れて、作品世界に没頭させていただきました。

 前巻で受難の末、関東での決起を余儀なくされた平将門。心ならずも討手との戦いを繰り広げる将門と行動を共にする玉藻は、彼を巧妙に導き、新皇の名乗りを上げさせます。
 しかし都もそれを座視しているわけではありません。討伐軍に配備された芦屋道満製作の悪魔の兵器・迦羅倶利将軍の力が将門軍を追い詰め、そしてそれが、さらなる悲劇を将門とその周囲にもたらすこととなるのですが――

 一方、前巻で囚われの人魚を救うため、宮中に乗り込んで大立ち回りを演じた鬼王丸一党。
 果たしてこの人魚が物語にどう関わるのか、と思いきや、これが全く意外な形で、極めて重要なアイテムを彼にもたらすというのがまた面白い。

 なるほど、こういう意味があったのか、そしてこういう手があるのか! と膝を叩きたくなるような展開であります。

 そして、奇想天外な展開が相次ぐ中で、岡本綺堂ファンであればニヤリとさせられるような描写が時折混じるのもまた嬉しい。
 夜の闇に神秘的な光を放つ玉藻の描写は「玉藻の前」からだと思いますが、クライマックスで将門を魔界に誘う玉藻の姿は、これは「小坂部姫」の逆転ではあるまいか!? と一人で興奮してしまった次第です。
(そんな描写があるにも関わらず、この巻の玉藻は普通の(?)悪い女魔法使いにしか見えなかったのが残念ではありますが…)


 さて、この巻のラストでは、鬼王丸と将門の激突が示唆され、いよいよ先の展開が楽しみになるばかり。
 次の巻で完結という噂も聞きますが、それはさておき、ここまで来たらあと何年でも待ちます! 待てます! と胸を張って言ってしまうほど、それほど本作の魔力に参っているところなのです。

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現代の天才絵師・山田章博が描くアクション絵巻「BEAST of EAST4」 伝統の妖怪「玉藻の前」の伝説をベースに、陰陽師、平将門、鈴鹿御前など、古い伝承に名を残す登場人物たちが活躍します。主人公・鬼王丸は妖狐・玉藻前に体を奪われた幼なじみ・藻(みくず)を取り戻すため、傀儡小屋の主人として仲間を集めながら機会を狙う。 玉藻前は帝に見切りをつけ、王気を見出した平将門を魔王にしたてようと画策する。玉藻前の神託により「新皇」を名乗る将門軍と石の傀儡人形・伽羅倶利将軍を伴った、将門討伐軍との戦... [続きを読む]

受信: 2011.09.21 17:09

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