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2011.11.16

「妖術武芸帳」 第01話「怪異妖法師」

 登城途中の老中の前に現れ、将軍家治の娘・継姫を要求する怪人・毘沙道人。それを聞かされた謎の老人・香たき殿は、姫を守るべく手配するが、毘沙道人に姫の駕籠は奪われてしまう。が、駕籠の中にいたのは、青年剣士・鬼堂誠之介だった。乱入してきた謎の僧・覚禅とともに手下と戦う誠之介だが、いくら斬っても相手は復活してしまう。これを千里ノ眼道士の妖術と見破った誠之介は、火薬の爆発で術を破るのだった。

 誰得の特撮時代劇ヒーロー紹介、今回から約三ヶ月の間、1969年に放送された「妖術武芸帳」を取り上げます。

 宙に浮かぶ異様な妖術師と対峙する青年剣士というアバンタイトルのビジュアルの時点でたまらないものがある本作ですが、
「そも妖術とは心の技 深く沈むれば万人その掌中にあり 無にせんか天をよみ 風をかぎ地の音を聞く 森羅万象己が意のまま げに 恐るべし恐るべし」
というナレーションも実に良く、冒頭から物語に引き入れられます。

 さて、冒頭で描かれるのは、老中・秋元但馬守の駕籠が、突然怪しの竜巻に襲われる場面。天空高く駕籠は巻き上げられ、落ちてくるのは駕籠かきのバラバラとなった手足(ご丁寧に血糊付き)…というショッキングなシーンです。
 と、老中が駕籠から降りてみれば、そこは怪しい野原。そこにぽつんと存在する堂宇に足を踏み入れてみれば、屏風に描かれた、川に浮かぶ舟の絵から、老人が声をかけてくるではありませんか。さらに、屏風から舟が! この辺り、中国の怪異小説にでも出てきそうなシーンを実際に見せられるとは…と感激であります。

 さて、毘沙道人と名乗るその老人は、時の将軍・家治の姫・継姫をいただきたいと、とんでもないことを言い出します。憤然と岸に降りた但馬守が気付いてみれば、そこはいつの間にか江戸城。しかし、彼の手には、道人から渡された、魚の入った魚籠が…
 この怪事件に但馬守が頼ったのは、謎の老人・香たき殿(「たき」は「火+主」。演じるは月形龍之介!)。香たき殿は、その魚籠を手に釣りに興じるのですが、その前に現れたのは中国服の怪人・千里ノ眼道士。
 しかし、そこですかさず割って入ったイイ声の船頭――その正体は、香たき殿の最も頼りとする男・鬼道誠之介! この世の誠を守る男であります。

 道士と剣を交えた誠之介(ここで唐十官の流れを汲む剣と見破るのにしびれる!)は、相手の剣を叩き折った上、道士を上下に両断! と思いきや、道士は婆羅門妖法の一つ・不死菩薩で復活。姿を消してしまいます。
 そしてその時、香たき殿が手にした魚籠も、謎の僧形の男に奪われてしまうのでした…

 場面は変わって水戸家の上屋敷に向かう継姫の駕籠。が、駕籠は再び妖術で奪われ、真っ赤な異空間に誘われてしまいます。
 駕籠を守っていたのは香たき殿が手配した忍びでしたが、千里ノ眼道士の前には全く及ばず、瞬く間に全滅してしまいます。

 そして堂宇に誘われた駕籠を待ち受けていたのは毘沙道人でしたが――駕籠から現れたのは当然(?)誠之介!
 絵の中の舟に乗って逃れようとした道人を追いかけようとした誠之介を止めたのは、あの謎の坊主。何か理由があってのことかと思いきや、道人が消えて行くのに驚いて屏風に頭から突っ込んで突き抜けてしまうのはどうかと思いますが…

 少林寺拳法を遣うこの謎の坊主・覚禅と成り行きから共同戦線を張ることとなった誠之介は、外で待ち受けていた手下たちと戦うのですが、しかしこの敵、倒しても倒しても立ち上がってくるではありませんか。
「これではまるで不死身じゃわい」の覚禅の言葉に、道士の術を思い出す誠之介。果たして堂宇の上に潜んだ道士が怪しげな印を…
 ここで道士の位置を見破って攻撃するかと思いきや、何と誠之介は、駕籠に仕掛けておいた火薬に着火、堂宇を爆破! 幻術の中で間違いなく存在する駕籠を爆破するという行為が、術を破ったのであります。この辺りの妙なリアリズム、いいですなあ…

 と、気付いてみれば二人がいたのは大川橋の上。後ろから襲いかかった道士を誠之介が斬った際に、道士の懐中から落ちた袋を奪って逃げていく覚禅。果たして彼は敵か味方か…というところで、次回に続きます。


今回の妖術師
千里ノ眼道士

 唐十官の流れを汲む剣と、自分や他者を復活させる婆羅門妖法・不死菩薩をはじめとする数々の妖術を操る男。
 継姫の駕籠の警護についた忍びをたった一人で全滅させ、妖術で誠之介と覚禅を翻弄するが、堂宇の爆発に術を破られ、最後の力で誠之介に襲いかかるも返り討ちにされた。


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コメント

鬼堂誠之介を演じられたのは、アニソン界の大御所ささきいさお(佐々木功)さん、当時新人のささきさんは時代劇の大スター、香火主(こうたき)役の月形龍之介さんとの共演に相当緊張されたそうです。それだけに思い入れも深く、もし続編とかが製作されたら出演したいと語っておられたのを読んだ事があります。

投稿: ジャラル | 2011.11.16 12:18

おお、今度は何と妖術武芸帳ですか。また好きな作品ありがとうございます。いやまさに「幻の名作」ですな。佐々木功さんが、実にかっこいいです。婆羅門の得体の知れぬ恐ろしさ、公儀の忍者を一蹴する強さなど敵側の描写もよくえがかれており、早期打ち切りが信じられぬ面白い第一話。東映さん、DVDして下さいよ(笑)

投稿: エージェント・スイス | 2011.11.19 22:03

シュワルツェネッガー元カリフォルニア知事が若き日に主演していた「コナン」シリーズは「ソード&ソーサリー」というジャンルの作品で、魔術師に生身の剣士が立ち向かうという内容です。妖術武芸帳もその様な作品の和製バージョンと言えるのかも。
主人公が忍者ではなく、小手先の忍術は使わずに剣術のみで挑む剣豪という設定が独特で良いですね。「妖術」も忍術以上のスケールで迫って来ます。
ただ、同じ時間枠での前作の「怪奇大作戦」でもそうでしたが、やはり、異形の怪獣怪人の不在が子供たちの心を掴めなかったのでしょう。確かに大人向きの作品ではありましたが、打ち切りも無理のなかった様に思います。
この作品以降、実写作品においても本格的にスポ根ブームが到来するのですね。

投稿: 特撮コメンテーター | 2011.11.25 23:13

ジャラル様:
いやー本当にこの作品のささきいさおさんは格好いい! 今からでも遅くないから続編を! というのは言いすぎだとは思いますが、本当に勿体ない作品です。

エージェント・スイス様:
「風雲」でなくてすみません(笑)
しかしDVDが出ていないだけに、一度きちんと取り上げたいと思っておりました。
本当に敵の描き方がうまいですねえ…

特撮コメンテーター様:
邪悪な妖術師vs青年剣士というのは時代小説でも昔はよくあったパターンですが、しかし今であればそういう売り方もアリですよね。
主人公が相手と同じ術で戦うのではなく、あくまでも剣術と科学知識というのも良い感じです。
にしても、怪奇の次がこれって、当時の子供が羨ましい…というのは特殊な感想だとは思いますが

投稿: 三田主水 | 2011.11.27 23:06

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