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2011.11.26

「石影妖漫画譚」第5巻 恋する退魔僧の熱血!

 さて、妖怪バトル人情ものという不思議な路線になったものの、それはそれでなかなか面白い「石影妖漫画譚」。長きに渡った入間編が前の巻で終わり、新章に入ったわけですが、こちらもなかなか波乱含みの展開であります。

 先の戦いで破壊された石影の筆を復活させるため、毛羽毛現の妹分である毛倡妓のもとを訪れた石影一行。
 しかし毛倡妓はかつての経験から人間(の男)不信、石影は協力を拒まれてしまいます。
 そんな中、毛倡妓の棲む雪山に巨大な怪物・白い狒々が出現。その狒々・しろがみに、毛倡妓が人間と思い込んで勝手に熱を上げる退魔僧・鳳蓮が挑むこととなります。

 というわけで、この巻まるまる一冊を使って描かれるのは、このしろがみとの対決編。
 狒々というのはまたメジャー妖怪ではありますが、本作に登場するしろがみは、その狒々の中でもアッパークラスと言うべきでしょうか、様々な能力で鳳蓮や毛倡妓、石影を苦しめることになります。
 特に、一度は痛撃を与えたかと思いきや××して…というのは、バトルものでは定番ではありますが、まさか実在の(?)妖怪がこんなことをするとは! という驚きがありました。いや楽しい。

 しかしそんなバトル展開と平行して描かれるのは、鳳蓮の成長劇――実はこの巻の主人公は、彼と言っても過言ではありますまい。
 密かに恋する毛倡妓(この時点で僧としてはいかがなものか…ですが)を守るため、寺の法具を持ち出して、というのはなかなか熱血していますが、しかしその実、彼は非常なびびり性。
 しろがみとの戦いで形勢不利になるや、毛倡妓を見捨てて一人で逃げ出すという、男であれば一番やってはいけない行為をやらかしてしまうのですが――

 もちろん、ここで終わるようであれば文字通りお話にならないわけですが、彼の決意の表れと、秘められた能力の発動がシンクロして描かれるドラマはなかなか熱く、この辺りの描写には、本作の連載開始当初の人情もの路線の流れも感じられるのにはちょっと感心いたしました。


 と、鳳蓮の話ばかりになってしまいましたが、ラストはきっちり石影が締めて、このしろがみ編もいよいよ終盤。
 鳳蓮の師匠(このキャラの狂いっぷりもなかなか面白い)の采配によりしろがみの方は一段落したものの、さて毛倡妓の方は…
 バトル人情ものとしての綺麗な〆に期待しましょう。


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