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2011.11.10

「快傑ライオン丸」を見終えて

 さて、「快傑ライオン丸」全54話を完走したわけですが、全体を通しての感想であります。
 と、その前に、分量が多くなりすぎてしまったので書けなかった最終回の感想から。

 あまりにショッキングだったラスト一話前からそのまま続いて、冒頭に錠之介の死という、実に盛り上がる展開からスタートしたこの最終回。

 そして始まったゴースンとの決戦は――正直なところ、ちょっとあっさり気味、という印象は否めません。
 やはり、あれだけ強大なゴースンが、獅子丸の命と引き替えとはいえ、一寸法師戦法の一撃で倒されるのはどうにも…
(真っ正面から突っ込む→ゴースンサンダーで打ち落とされる、という毎度のパターンが今回もあったこともありますが)

 しかし、これは前回触れましたが、死を覚悟した獅子丸の心情を、決して露骨ではなく、故郷の飛騨に咲く花に託して描くという場面は実にいい。
 ここまで死亡フラグを立てたら、逆に生きて還っても良かった気もしますが、しかしそれは獅子丸の覚悟を無駄にすることになってしまうのでしょう。
 これも大団円と言うべきでしょうか。


 さて、全編通しての感想ですが、これはもうとにかく面白かった! の一言に尽きます。
 それも、特撮ヒーローものとしてだけでなく、時代劇として面白かった、というのが実に大きい。

 戦国時代にライオン丸というネーミング、しかもライオン顔の剣士!? という、誰もが初めに抱くであろう違和感は、正直なところ私にもありました。
 しかし、いざ実際に作品を見てみれば、背景描写が、獅子丸たちが旅の途中で出会う人々が、物語内容が、変に特撮ヒーローナイズされず、きっちりと時代劇として作られているため、その違和感はすぐに消えてしまいました。

 いやむしろ、真っ当な時代劇世界の中に、ライオン丸も含めて異形の存在が居るという強烈なコントラスト(茶店で団子を食うネズガンダー!)が、むしろ時代劇としての本作のリアリティを際だたせたようにすら感じるのです。

 そしてもちろん、変身ヒーローものとして見ても、本作は非常に面白いことは言うまでもありません。
 基本はゴースンを求めて旅する獅子丸たちが事件(怪人)に出会って…というパターンが大半なわけですが、しかしそれでマンネリを感じさせない、物語のバラエティの豊かさはもちろんあります。
(中盤のイベント編である果心覚書編など、本当に盛り上がりました)

 しかしそれ以上に、登場する敵キャラクターの魅力が大きいでしょう。特撮史上に残るであろう名ライバルキャラ・タイガージョー(戸野広浩司氏の急逝が本当に惜しまれます…)はもちろんのこと、個性の固まりのような面子が多かったゲスト怪人の存在は、本作の面白さのかなりの割合を占めるのではないかと感じます。
 トビムサシ、ムイオドロ、オオガミラス、ネズガンダ-、ハンザキ…すぐに思い浮かぶこのあたりの怪人、人間よりも人間らしい連中として、単なるやられ役ではない怪人像を、これでもかと印象付けてくれました。


 と、敵が魅力的なだけではもちろんいけません。
 本作の主人公チームは、主人公とヒロインと子供という、特撮ものでは一種定番の組み合わせですが、しかし、沙織さんも小助も、単なる賑やかしなどでは決してありません。(あ、沙織さんの序盤の捕らわれっぷりはあれはあれとして)
 作中で幾度も描かれるように、沙織も小助も、獅子丸とは対等な存在。三人一組でゴースンに挑む力となるというのが、実に良いのです。
 そして、そんな三人であったからこそ、最終回で二人に別れを告げる獅子丸の姿が、印象的だったのかもしれませんが――


 まとまりがなくなってしまいましたが、一年強という決して短くない期間、一度も見ていて退屈することはなかったというのは、間違いのないお話。
 本作をもって、特撮ヒーロー時代劇の一つの究極の姿と言っても、大袈裟ではない…心より、そう感じる次第です。


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コメント

同時期の変身忍者嵐とどうしても比べてしまいますが、「王道」であることを途中から捨てた嵐に対して、ライオン丸の作風はまさに最後まで王道を貫いていたと思います。
(大魔王と決着を付けるラストは似ていましたね。ただ「妖怪城に死す!」はずだった嵐はハヤテになって無事に帰還し、母親と再会しましたが。)
「小さな怪獣」とでも言うべき造形の怪人達は東映怪人にありがちな、故意の左右非対称とか、体が崩れた様なデザイン(風雲には多少見られる)も殆ど無く無難でしたが、今一つ魅力という点で物足りないし、造形が無駄に重厚過ぎる気がします「怪人モノ」としてはもっとスッキリした造形でも良かったと思います。極端な話、中には顔出しの怪人(嵐の骸骨丸や悪魔道人の様な)がいても良かったのでは?

投稿: 特撮コメンテーター | 2011.11.12 11:19

予算が無いので有名な(俳優に出演料未払いの作品もあったそうで(笑))ピープロの作品中、最大のヒット作とも呼べる作品です。東映や円谷という大手作品とは1味異なる作品は特撮ファンなら必見でしょう。

ただ続編の『風雲ライオン丸』や平成版の現代を舞台にした『ライオン丸G』は・・・・。

最近公開されて評判の良い同じピープロ作品の『電人ザボーガー』のスタッフで『ライオン丸』も映画化されたらいいな・・・と思います。

投稿: ジャラル | 2011.11.13 13:34

三田さん、快傑ライオン丸の素晴らしいレビューありがとうございました。お疲れ様でした。いろんな方が書かれていますが、キャラクターの魅力、ドラマ性、アクション等々まさに傑作でした。個人的には、獅子丸、沙織、小助の主人公たちの強いが、弱さも秘めたキャラクターが大好きでした。獅子丸でさえ、戦いに迷い弱気になったり沙織、小助も時には恐れたり、悩みながら戦っていました。タイガージョーや、敵怪人や、ドクロ忍者にもドラマがあつたり(!)するのは、驚きでした。最近この作品が再評価されてるのは、ファンとしてもうれしいです。

投稿: エージェント・スイス | 2011.11.13 20:11

特撮コメンテーター様:
ほとんど全く同時期だったために何かと比べられがちな二作品ですが、どちらも本当に面白い作品でした(ラストが同じような展開で正反対の結末というのは面白いですね)。
怪人の造形的には確かにナニなのですが(モチーフ不明のも結構いましたし)、トビムサシなど、その辺りを逆手に取った展開が面白かったと思います。

ジャラル様:
えー「風雲」はその時に語るとして、Gは、ラストに獅子丸ちゃんがヒーローになれなかったのが個人的に残念でした。あれはあれで「らしい」結末かもしれませが…
これも怒られそうですが、映画化するなら監督は変えてほしいなあ…

エージェント・スイス様:
こちらこそ、最後までお付き合いいただきどうもありがとうございます。
本当にこの作品の最大の魅力は、敵味方の実に人間くさい(怪人くさい?)キャラクター造形にあったと思います。
今の時代に見ても全く古びていないのは、驚きでした。本当に楽しかったです。

投稿: 三田主水 | 2011.11.13 20:56

風雲ライオン丸のドラマ性が私は好きですけどね…

投稿: X | 2012.08.30 19:49

X様:
風雲の方もいずれ必ず取り上げたいと思います!

投稿: 三田主水 | 2012.08.31 21:30

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