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2011.11.18

「廓ノ幻」 風魔、幕末に駆ける

 時は幕末、江戸吉原を根城とする幻太郎は、廓一の絵師として遊女たちに評判の存在だった。だが、彼の裏の顔は、先祖代々吉原を陰から守ってきた風魔衆の頭領・十三代目風魔小太郎だった! 吉原を騒がせ、女たちを泣かせる侍たちに、小太郎の怒りが爆発する!

 「週刊漫画ゴラク」誌に不定期連載されていた、幕末の吉原という珍しい舞台を扱った忍者アクション「廓ノ幻」の単行本が発売されました。
 原作は市原剛、絵は今野直樹と、かつて「月刊少年ジャンプ」で大ヒットしたアクション漫画「ダブル・ハード」のコンビであります。

 吉原遊郭を作り、そこを守り、潜む風魔忍者――という設定自体は、吉原の創設者の庄司甚右衛門が風魔の庄司甚内の後身という説から、小説や漫画などではしばしば目にする題材であります。
 その意味では、本作はさほど新味があるわけではなく、遊び人めいた主人公が実は! というのも、まずは定番ではあります。

 しかしながら、本作の面白い点は、時代設定が幕末ということでしょう。
 上で触れた吉原+風魔もの(?)は、実のところ、庄司甚右衛門が存命の、江戸時代前期の時代を舞台としたものがほとんど。
 それはおそらく、風魔がイメージ的にやはり戦国時代に繋がった存在であるのではないかと思いますが、それはさておき、幕末というのはやはり非常に珍しいかと思います。

 しかし考えてみれば、幕末を舞台とするのは悪くないアイディアであります。動乱の時代に吉原もまた無縁なはずもなく、そして動乱の時代こそ、風魔小太郎が活躍しても違和感がない舞台なのですから…

 不定期連載のためか、内容的には基本的に連作短編スタイルなのですが、井伊直弼(ここでは吉原を資金源として傘下に収めんとする悪役)と、水戸家の対立を一つの核として展開していくのはなかなかに面白く、特に直弼との決着編は完全に伝奇もの。
 やっていることは完全に無茶なのですが、あまり見たことのない直弼像で、本作には似合っていたかと思います。

 脇役で登場する勝海舟や土方歳三も、いかにも「らしい」造形で良かった(ただ、海舟はそれなり以上に腕は立ったのではないかと思いますが…)ことですし、一巻で終わりは少々残念なのですが…
 またこのコンビには、ユニークな時代ものを描いていただきたいところです。

「廓ノ幻」(今野直樹&市原剛 日本文芸社ニチブン・コミックス) Amazon

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