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2012.01.08

「海賊伯」第1巻 現実世界に少年海賊の夢は躍る

 時は大航海時代、世界の果てを目指す少年・アルは、とある港町での事件で出会ったイギリス女王エリザベス一世から、伯爵位を与えられる。その領土は、イングランドの全海域――海に愛され、海を愛する海賊伯の冒険が、いま始まる!

 「女性向けの少年漫画雑誌」という非常にユニークで興味深いコンセプトの「コミックジーン」誌。
 その連載作品の中で、個人的に最も注目しているのが、本作「海賊伯」であります。

 舞台となる時代は16世紀後半――大航海時代。イングランドのとある港町に漂着した少年・アルが海賊の疑いをかけられ、謎の美女・リーザの機転で救われるところから物語は始まります。地位を笠に着て町で悪行三昧の男爵相手に活劇を繰り広げるうちに、信頼を深める二人。そしてリーザは、アルに驚くべき正体を明かします。
 彼女こそはイングランド女王エリザベス一世…そしてアルことアルバート・ドレイクに、伯爵位を与えるリーザ。その領土はイングランドの全領海――ここに誕生した若き海賊伯アルの冒険が、本作では描かれることとなるのであります。

 …ここでアルの本名を見て、ピンとくる方もいらっしゃることでしょう。大航海時代、イギリス、海賊、ドレイク――そう、大海賊フランシス・ドレイクです。
 フランシス・ドレイクは、16世紀後半に実在した海賊にしてイギリス海軍提督。そして世界で二番目、イギリス人では最初に世界一周を成し遂げた人物。スペイン船やスペイン領を中心に襲撃し、金銀財宝を略奪した彼は、何と当時のイングランドの国庫歳入よりも多い金額を、エリザベス一世に献上したという、豪快とも痛快とも言うべき逸話を持つ、本物の大海賊であります。

 そして本作の主人公・アルは、そのフランシス・ドレイクの、血の繋がらない息子という設定なのです。


 海賊を主人公とした漫画は、決して少なくはありません。
 そんな中で本作ならではの特徴と言えば、現実の大航海時代を舞台に、エリザベス一世やフランシス・ドレイクといった実在の人物を配置している点でしょうか。

 もちろん、本作はあくまでもアルという主人公を中心とした冒険活劇。アルや仲間たちの持つ、常人離れした能力を発揮する不思議な刺青の力をはじめとして、ファンタジー的な要素は多分にあります。
 しかし、アレンジされているとはいえ、史実という確固とした背景を得たことで、そのファンタジーの部分とのせめぎ合いが、より面白さを見せてくれると…と、そう期待できると、本作の端々から感じられるのです。


 この第1巻はまだまだアルをはじめとするキャラクターや舞台設定の紹介編という印象が強く、まだまだ物語がどこに向かっていくのかは見えません。
 厳しいことを言えば、まだまだ主人公の行動に具体的な目標が見えないため「夢を夢見ている」という印象はあります。

 それでもなお、本作の先を見てみたいという気持ちになるのは、主人公の持つ純粋な夢や希望といった想い――未知の世界を恐れず、突き進んでいく想いが、大航海時代という舞台、少年主人公という要素と相まって、胸に響いてくるからではないかではないか…そう感じます。

 おそらくは物語はアルの謎めいた出自を中心に動いていくのではないかと感じますが、果たしてそこに何があるのか。
 痛快な冒険活劇を期待したいと思います。


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