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2012.01.06

「姫武将政宗伝 ぼんたん!!」第5巻 二人の想いの行方に

 毎回書いておりますが、前の巻が出てからずいぶんと待たされた「姫武将政宗伝 ぼんたん!!」待望の第5巻が発売されました。
 …が、何ということでしょう、本作がこれが最終巻。あまりにも口惜しいことであります。

 第4巻のラストで、畠山義継の暴走により人質とされた父・輝宗を、自らの命令で義継もろとも射殺することを余儀なくされた政宗。
 深い悲しみと怒りを胸に、政宗は畠山氏の二本松城攻めを開始しますが、その機に佐竹義重をはじめとする反伊達連合軍が挙兵、一転、政宗は窮地に陥ることとなります。

 というわけで、第5巻の前半は、この伊達軍vs反伊達連合軍の死闘、いわゆる人取橋の戦いが描かれることとなります。
 鬼義重こと佐竹義重と、その子・義宣(いかにも勇猛な義重と、異常にクールな義宣と、この二人のキャラ造形がまたうまい)を中心とした敵軍の勢力は、伊達軍の4倍以上。
 ほとんど背水の陣の伊達軍も、政宗を中心に伊達成実、原田宗時、鬼庭左月・綱元父子ら本作でもお馴染みの面々が奮戦、死闘を繰り広げるのですが…

 しかし、その中でぎくしゃくとした関係となっていたのが、政宗・小十郎主従。お互いが、相手に輝宗の死を負担に感じさせまいと思えば思うほど、二人の心がすれ違い、ついには、政宗が己の眼帯を突き返すことに…
 本作においては、政宗の眼帯は、小十郎が政宗の大望に対する終生の忠誠の証として捧げたもの。これを外し、小十郎に返すということは、二人の間に決定的な溝が生じたことにほかなりません。
 果たして、二人の想いの行方は――

 と、本作の巧みさに唸らされるのは、この政宗と小十郎の気持ちのすれ違いと、人取橋の戦いの行方が絶妙に絡み合い、クライマックスにおいて一つの頂点を迎えることであります。

 本作の最大の特徴は、言うまでもなく、政宗が女性であること。
 本作における政宗は性格的にやんちゃ坊主、小十郎は徹底的なカタブツという設定ゆえ、二人の間にロマンスは…? という印象ではありましたが、ここでこう来たか! と、思い切り驚いたり、ニヤニヤさせられたり、であります。


 冒頭に述べたとおり、本作は残念ながらこの第5巻で完結。
 内容的には、政宗が東北の大半を制するに至った摺上原の戦いまでが描かれることとなり、これはこれで正しい判断と感じますが、それ以上に、女政宗の想いの行方を、このような形で整理してみせたことに、納得させられました。

 もっとも、まだまだ政宗の生涯は続きます。本作ならではの解釈を見たいエピソードも、山のようにあります(特に、小次郎の死の真相と、五郎八姫の父親が誰かは知りたかった!)。
 その意味では大いに複雑な心境ではありますが――しかし、少しでも多くの戦国ファンに読んでいただきたい、実に面白い作品であることは間違いないと、再確認した次第です。

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