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2012.02.12

「忍道 SHINOBIDO」 プラスのギャップとマイナスのギャップ

 山中に隠れ住む忍びの一族の女忍・お甲は、忍び狩りを任とする黒羽衆の動きを探る命を受けて町に出る。そこで黒羽衆と目される侍・東五郎に接近するお甲だが、二人はお互いに惹かれあうようになってしまうだが東五郎はやはり黒羽衆だった。それを知ったお甲の躊躇いが、やがて大きな悲劇を招く…

 日光江戸村生誕25周年記念作品として製作された忍者映画が、本作「忍道 SHINOBIDO」です(ちなみに同名ゲームとは全く関係はない模様)。
 忍者映画と聞くと、往年のニンジャ映画…は極端にしても、ある程度はド派手で荒唐無稽な内容を想像してしまいますが、本作は良くも悪くもそうした部分を極力抑えた作品であります。

 おそらくは江戸時代後期、どことも知れぬ町…一見平穏なその町の闇で激しい暗闘を繰り広げる忍びと、その忍びを狩る任を受けた黒羽衆。
 忍びの隠れ里の族長から、町を探ることを命じられた女忍・お甲は、居酒屋の女中として、東五郎という侍に接近します。実は黒羽衆と目される東五郎ですが、しかしお甲の目に映った東五郎は、一人娘と平和に暮らす心の優しい男。
 やがてお甲は東五郎に惹かれ、東五郎もお甲に惹かれるようになっていくのですが、しかしその想いが事態を悪化させ、やがて忍びと黒羽衆の全面対決の時を迎えることに――


 主人公・お甲を演じるのは、最近売り出し中の若手・佐津川愛美(「電人ザボーガー」で後半のヒロインを演じた方)。
 作中では凄腕の女忍という設定のお甲ですが、しかしそのビジュアルはむしろ丸顔の可愛らしい少女(それ以上にアニメ声優みたいな声には驚きましたが)。いわゆる女忍、くノ一のイメージからは少々離れた印象がありますが、しかしそのらしくなさが新鮮に感じられます。

 その彼女が文字通り体当たりで戦うアクションシーンは――もちろん全て自分で演じているわけはないものの――そのギャップがプラスに働いて、なかなかに見応えあるものとなっていたかと思います(特にオープニングシーン、黒羽衆の本拠に単身乗り込んで敵を蹴散らし、捕らわれて口を割りかけた仲間を殺して去るシーンは、シチュエーションも含めてなかなかよろしい)。

 しかしその一方で、ギャップがマイナスに働いていたのはドラマパート。
 恋に迷って己の任務を誤るという、ある意味女忍の業に満ちた姿を演じるには、残念ながら彼女の姿はあまりに幼く見えてしまうのです。
(これについては、東五郎側でお甲に惹かれていく描写に説得力が乏しかった点も多きいのですが…)


 そんな彼女の存在にある意味象徴されるように、本作は、ベタ褒めすることも、全否定することも難しい作品であります。

 アクションはそれなりに充実、ドラマもまあ…ですが、しかし尖った部分がない。
 ネタものとして楽しむには真面目すぎ、真面目な忍者映画として見るには中身が軽い――

 何より困ってしまうのは、武士道に対する忍道、というタイトルの意味が、お甲の姿からあまり見えてこないことで…
 確かにお甲は刃も心も持った存在として描かれてはいますが、しかしもう少し別な描き方があったのではないか、という印象は強くあります。

 あまり時代劇という印象のない長谷川初範(というのはこちらの不勉強で、実際にかなり武道をされている方のようですが)が、忍びの里の族長として見事なアクションを見せてくれたり、AKB48の菊地あやか演じるお甲の妹分・暮松がなかなか面白いキャラであったりと、面白い点はほかにもいくつもあるのですが…
(特に暮松は、立ち位置的には自信過剰で状況を悪くする妹分、というわかりやすいキャラながら、お甲に寄せる執着心がちょっと変態的なのが面白い)


 与えられた条件の中でできることはやった、という印象はあるものの、それ以上でもそれ以下でもない…正直に申し上げて、そんな作品であります。


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