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2012.04.02

「逃亡者おりん2」を見終えて

 さて、めでたく全11話完結した「逃亡者おりん2」。最終話と、全体を通しての感想であります。

 さて、ほぼ前回で百姓一揆を巡る物語は完結し、一回丸々使ってのエピローグ、という印象もあった最終回。
 それだけに単純なテンションという点では前回・前々回の方が高かったというのが正直なところですが、しかし、静かに、そして残酷に主人公二人の別れを描くというのも、この作品らしいと言えるでしょう。

 全てが丸く収まり、ハッピーエンド…と思わせておいて(いや、ファンにとってはそうならないことは百も承知なのですが)最後の最後で薄幸ぶりを発揮するあたり、実におりんさんらしいと言うべきでしょうか。
 母のように接してくれた(そして何事もなければ義母になったであろう)人物を亡くし、そして心を繋いだ誠之助が侍の世界の理不尽な力学に追い詰められたのを悟って、自らを討たせるように仕向ける…

 裏の世界に長く身を置いてきたおりんであれば、このような結末になることも、ある意味予想通りだったのかもしれません。それでも彼女がその運命からは逃れることをせず、誠之助に討たれることを選んだ心を、何と評すべきか。それは、決して悲しみだけではなかったのだと思いたいのですが――


 …さて、民放最後の連続時代劇という、おそらくは望まぬ十字架を背負わされて始まった本作。その称号が、果たして本作にふさわしいものであるかどうかは、賛否がわかれることでしょう。
 というより、ほとんど後者なのではないでしょうか(私も本作をこのブログで取り上げるに当たり、真面目な時代劇ファンの方に、嫌がられた記憶があります)。

 しかしそれもまあ、頷ける話ではあります。深夜の、それも30分枠という時間帯。そして何よりも、主人公は妙なレオタードを着たヒロインで、敵役は一番メジャーなのが福本清三という斬られ役集団…
 そのスタイルは、時代劇は時代劇でも、往年の特撮ヒーロー時代劇。これを時代劇の本道的に扱うことは、さすがの私でもできません。

 しかし、そんな拘りを捨ててしまえば、本作は非常に楽しかった、としかいいようがありません。
 もはや「怪人」と呼ぶにふさわしい剣草の面白キャラクターたちに、毎回異なるシチュエーションで「変身」してみせるおりん。
 そして――これは「逃亡者おりん」時代からそうでしたが――ほとんど様式美として確立されたパターンの存在もあって、ライブ感覚で何も考えずに見るには、実に楽しい作品であった、と断言できます。

 おりんを演じる青山倫子も、相変わらずと言えばその通りなのですが、誠之助とのやりとりでは、おりんが徐々に人間らしい…とうか可愛らしい表情も見せるようになる様を見せてくれたのが何よりの収穫と思います。
 そしてその誠之助を演じた渡辺大も、時々演出のぶれはあったものの、「芯の強いヘタレ」という、はまれば好感度大なキャラクターを好演。お約束とはいえ、終盤に近づくにつれ、もう一人の「逃亡者」であった彼が、武士として、男として成長していく姿は印象に残りました。

 とはいえ、やっぱりトホホな部分も多かったのも事実。
 特に、基本的に地味な展開が続いた中盤など、ストーリーの地味さ(もしくは粗さ)を、剣草の面白キャラぶりで強引に盛り上げていたという印象があります。
 お話の方も、前作に比べればスケールの小ささは覆うべくもなく(それはそれで申告なのですが)、やはりスケールダウンした感は否めません。

 それはそれで面白いのだけれども、もうちょっと考えようよ…と言いたくなるような展開を無邪気に楽しむのは、それはそれでいささか罪悪感を感じましたが、しかし様々な要素・状況を加除してみれば、決してマイナスにはならなかった作品だと、私は感じているところです。
 これが時代劇だ、と言うつもりはありませんが、これも時代劇だ、とは胸を張って言わせていただきたいと――


 さて、絶望の中から見いだした小さな希望の光をも失い、それでも生き延びてしまった(のでしょう、間違いなく)おりん。
 彼女の旅が続くということは、彼女の逃亡が、彼女の悲しみが続くということでもありますが――それでもやはり、続編を見てみたいという気持ちは間違いなくあるのです。


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コメント

 三田主水様
おりん2が始まった時、最終章で吉原で豪遊する田沼意次が描かれていること、おりんが吉原炎上の濡れ衣を着せられること、時代が宝暦十年(最終章の始めに宝暦十年のテロップが流れます)であること、そしておりん2のなかで美濃八幡藩とゆうキーワードが流れた時宝暦郡上一揆と田沼意次の関係したスケールの大きな物語を期待しました。主水様には釈迦に説法でしょうが、郡上一揆の概要を述べますと宝暦四年から八年まで続いた年貢の取立て方をめぐり領主に反発した農民達が幕府に訴えた為藩主金森頼錦は内々で老中,本多正珍、若年寄、本多忠央らに藩が有利になるように処理するよう依頼したことから幕閣を巻き込んだ難事件になったものです。この結果農民達は百人以上が死罪や遠島などの罰をうけましたが、幕閣も老中本多正珍、免職、若年寄、本多忠央、領地没収、領主金森頼錦、領地没収のうえ、お家断絶などの処分をうけているのですが、この幕府の協議に九代将軍家重の命により,御側御用取次ぎだった田沼が五千石を加増され大名挌として参加しているのです。その結果宝暦八年には金森氏の後には宮津より青山氏がはいり幕末まで続き、本多忠央の領地だった遠州相良には田沼意次がちゃっかり新領主としてはいるとゆう、うさんくさいものになりました。このあたりに田沼の陰謀が感じられ、おりんが最終章で右吉に「田沼と手を組んだお前など見たくない。」と叫んだ台詞が生かされるのかな、と思ったのですが。そのような背景でえがかれればおりん2もよりおもしろくなったのではないかと思ったのですが。
 尚、私は石垣ではなく石崎です。 
 

投稿: 石崎誠一 | 2012.04.02 18:02

石崎様:
大変申し訳ありません! お名前を間違えるとは、大変失礼なことをしてしまいました。修正させていただきました。

さて、郡上一揆のご説明をありがとうございます。本来であれば百姓一揆はこれだけ大きな事件であり、そして中央の政局にも影響を与えるものなのですが、誠之助を始めとする藩の人間に近い視点で描いたためか(これはこれでもちろん正しいのですが)いささかコップの中の嵐のようになってしまった感があります。

30分番組でそこまでは酷かもしれませんが、確かに最終章で田沼を出したのですから、ちらりとでも言及してくれれば、物語にスケール感を出すことができのに…と感じますね。

投稿: 三田主水 | 2012.04.02 23:55

時には、笑いを覚える(失礼)事もままある「逃亡者おりん2」。しかし実はアニメ「忍風カムイ外伝」「眠狂四郎」のようなハードな物語でした。ところで時代劇専門チャンネルでおりんの全話を見直しましたが、何と 「争奪姉様人形」という回で...おりんが何と弥十郎に「当て身」を食らって気絶するシーンを発見!もちろん不意打ちの当て身ですが。しかし脇役の人ならまだしも、時代小説、時代劇でタイトルをはってる主役で、当て身を食らい気絶したのはこの人ぐらいかも。いやそんなところも、おりんの魅力かもしれませんが。個人的に気になったので、書かせてもらいました。

投稿: エージェント・スイス | 2012.04.06 21:00

エージェント・スイス様
さすが、目の付け所が違いますね(笑) いや、確かに珍しい…
しかしおりんさんは、設定上はおそらく無敵ながら、実際の映像では妙に頼りない部分があって、その辺りのギャップも楽しませていただきました。

投稿: 三田主水 | 2012.04.19 19:19

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