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2012.04.25

「新撰組秘闘ウルフ×ウルブズ」第2巻 激突! 正剣vs邪剣

 何故か子供姿になってしまった近藤勇と新撰組が、京を騒がす者たちに挑む「新撰組秘闘 ウルフ×ウルブズ」第2巻であります。

 見た目は10歳の少年・近藤勇を頂く新撰組。土方・沖田といった他のメンバーは史実通りの年齢であるのに、局長のみ子供というのはいかにも異様ですが、しかしこの近藤には、未来を視るという常人にはない力があります。

 その力で、剣の上では無敵の見切りを手に入れながらも、同時に新撰組がたどる血塗られた未来を視てしまった近藤が、歴史を変えるべく奮闘する、というのが本作の基本設定ですが、この第2巻では、邪剣十二宗家を名乗る剣客集団と新撰組が対決することとなります。

 精神修養の側面等を取り入れ、歴史の表舞台に立った様々な剣術流派――それを「正剣」と呼ぶならば、その一方で、歴史の闇に潜み、あらゆる禁じ手を取り入れて殺人術のみを磨いたものが「邪剣」。
 その邪剣を極めた者たちが、当代最強の正剣集団として標的に定めたのが、新撰組なのであります。

 かくて、新撰組vs邪剣十二宗家の対決が始まるわけですが、ここで新撰組側の代表選手として登場するのは、山南・沖田・土方という面々。
 第1巻では近藤の活躍がメインに描かれましたが、もちろん新撰組の猛者は彼だけではない――ということで、ここではこの三人が、それぞれいかにもらしい形で戦うこととなりますが、これがなかなか楽しいのであります。

 単行本の帯で作者自ら(?)書いているように、この戦いの内容は厨二バトル全開。もはや時代ものの域を色々と飛び越えているのですが、だがそれがいい。
 ほとんど怪人レベルの邪剣士を相手に、能力全開で挑む新撰組の戦いぶりは、一種潔さすら感じさせる飛ばしっぷりで、こういうのも個人的には大いにアリ、だと感じます。
(まさか時代ものでウォーズマン理論を見ることができるとは!)

 しかしその一方で、個人的に非常にひっかかったのは、敵の一人の設定に、この時代にはおよそあり得ないものがあった点であります。
 幕府の重税に苦しむ領民を救うために幕府に戦いを挑むも、敗れて領地を幕府に奪われた領主というのは、いかに幕末とはいえナシでしょう。

 第1巻の感想でも似たようなことを書きましたが、ぶっ飛んだキャラクター、ぶっ飛んだ戦いを描くにしても、押さえておくべき部分はあります。
 それは、荒唐無稽を荒唐無稽たらしめるために守るべきリアリティーがある、ということであり――守るべき部分、ちょっと気をつけていれば簡単に守れる部分を外されると、荒唐無稽を心から楽しめなくなってしまうわけなのです。

 大いに楽しませていただきつつも、大いに不満も残ったこの第2巻。この先は、文句なしに楽しませてくれることを期待したいのですが…

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