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2012.04.09

「ちょんまげ、くろにくる ぽんぽこ もののけ江戸語り」 良くも悪くも集大成

 小次郎の父・相馬時国の背後に潜み、戦国武将の亡霊たちを甦らせてきたのは安倍晴明だった。江戸城を占拠した晴明とその母・葛葉姫に挑む小次郎と仲間たちの前に、強力な江戸城の守り人たちが立ちふさがる。次々と仲間たちが倒れていく中、晴明の前にたどり着く小次郎が知った真実とは…

 「ちょんまげ、ちょうだい」の名を継ぐ凄腕の美形でありながら、万年金欠の残念浪人・相馬小次郎と、玉子焼き大好きの天然狸娘・ぽんぽこの活躍を描く「ぽんぽこ もののけ江戸語り」の第三弾にして<小次郎編>の最終巻であります。

 前作「ちょんまげ、ばさら」で地獄から次々と甦り、江戸を襲った戦国武将たち。小次郎と柳生廉也、丸橋弥生といった仲間たちは(成り行きから)これに立ち向かってきたのですが、そこに柳生宗冬からもたらされたのは、江戸城が占拠されたという驚くべき知らせ。
 しかも占拠したのは、かの大陰陽師・安倍晴明と、その母の狐の妖・葛葉姫――

 というところで「つづく」となった前作を受けての本作は、ほとんど全編に渡っての大決戦というべき内容。
 江戸を大火に包まんとする晴明らに対し、小次郎・廉也・善達・弥生・ぽんぽこ・白額虎・猿飛佐助(の孫)…に加え、真田幸村、雑賀孫一、出雲阿国(霧隠才蔵)といった復活組も何故か加わり、全面対決を挑むことになります。

 しかしながら晴明側も強敵揃い。“江戸城の守り人”と呼ばれる強力な亡霊たちをはじめ、奇怪な術を用いる者たちが、小次郎たちの前に立ちふさがります。
 かくて、前作にも増して歴史上の有名人たちを相手にすることとなった小次郎たちは、一人また一人と倒れながらも、晴明に迫っていくのですが…

 と、敵も味方も総力戦。ここは俺に任せて先に行け! とばかりに繰り広げられるトーナメントバトルは、メンバーの顔触れの豪華さもあり、大いに盛り上がります。
 そして次々と登場人物が斃れていくシリアスな展開の中でも、ぽんぽこや柳生宗冬(!)らといった面子が、すっとぼけたキャラクターを見せてくれるのも、何とも楽しいのであります。


 その意味ではシリーズの集大成という感で、楽しませてはいただいたのですが…前作で感じた欠点も、そのまま残っているのが何とも。

 前作で連発された「実は」な意外な設定は、本作においても次々と登場することとなります。
 一つ一つが、作品一つぶんになりそうな大ネタのオンパレードは、実に豪華ではあります。しかし、その連発が、物語から深みを奪っていると、残念ながら感じるのです。

 そこまで描かれてきたキャラクター描写や設定を一瞬でひっくり返してみせる「実は」。
 その意外性は、基本的に物語を盛り上げるものではもちろんありますが、しかし、これだけ連発されれば、慌ただしい印象ばかりが残ります。

 本作最大のキモである晴明の真の狙いも、意外性は大いにあるのですが、そこに説得力があるかといれば疑わしい。ド派手で無茶な物語をこよなく愛する私ではありますが、しかしそこにはそれなりのロジックと、そこから生まれる説得力が欲しいのです。


 キャラクターと舞台設定のユニークさは相変わらず魅力的であります。しかし、それが動かされるべき物語とその描写は…
 物語が大仕掛けになればなるほど、その点は目立ちます。

 ぽんぽこのシリーズは、今後時代を遡って平安時代を舞台とするようですが…さて、そこでは何が描かれるのでしょうか。

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