« 「続 明治開化 安吾捕物帖」 時代を超えた作品の全貌 | トップページ | 「ふたり、幸村」(その一) 馴染み深き、そして新しき幸村伝 »

2012.05.29

「石影妖漫画譚」第7巻 集結、ベストメンバー…?

 妖怪絵師・烏山石影と仲間たちが妖怪事件に挑む「石影妖漫画譚」も、気がつけば連載七十回を超えて単行本もこれで第7巻。
 いまは「石影祭」と銘打って単行本連続刊行、「週刊ヤングジャンプ」にお里帰りの短編掲載と、なかなか賑やかなのはめでたいことであります。

 さて、物語はこの第7巻から再び長編エピソードに突入とのこと。
 以前、かまいたちの能力を能力を手に入れた人斬り・入間亜蔵と長きに渡る死闘を繰り広げた石影たちですが、再び始まる、妖の力を手にした者の凶行に立ち向かうこととなります。

 江戸で相次いで発見される無残な焼死体。一瞬に強力な炎で焼かれたと思しきその遺体に、尋常ならざる力――妖の力の存在を感じ取った石影たちは、これ以上の犠牲者を増やさぬために調査を開始します。

 そこに加わったのは、石影の他、かつて彼と共に入間と戦った火盗改長官・中山騎鉄、彼の師匠でかつて石影に救われた老武士・掛川武幻、白狒々事件で活躍した槍使いの退魔僧・鳳蓮、そして毛羽毛現…ほとんど本作のベストメンバーというべき顔ぶれであります。
 しかし、被害者は、いずれも城から帰る途中の歴とした武士たちであるとわかったものの、果たして何故彼らが襲われたのか、そして次は誰が襲われるか、そして何よりも、下手人の正体は謎のまま。
 ただ一人石影のみ、ある思惑を秘めて動き始めますが、しかし彼が辿り着いた下手人とは何と…

 あとがきを見た限りでは、本エピソードはかなりの長編となるようですが、しかし物語の展開は最初から出し惜しみなし。
 ベストメンバーの集結というのは、いかにも長編バトル漫画らしく、それだけでもこれまで読んできた人間にとっては盛り上がるものですが、しかし何と言っても驚かされるのは、今回の事件の下手人の正体。
 意外に早くわかったな…などいう気分も吹っ飛ぶ意外な正体のおかげで、この先の展開が全く見えなくなってくるのですが、もちろんこれが面白いのであります。

 ちなみにこの下手人探しにおいては、石影がかなりロジカルな推理を展開。
 たとえ妖の力を使う相手であろうとも、それが人間であれば、かならずこの世の理に則った痕跡を残す。それに誰よりも早く気づくのが、対象の観察を重んじる絵師の石影であったというのは、なかなかよろしいではないですか。

 そして物語の方は、石影と下手人が真っ向から激突。石影の反則クラスの妖怪画も非常に楽しいのですが、バトルものでは先に手の内を見せた方がまずいわけで…さて。

 事件の一方で、謎の敵から、日本の対妖僧兵全体への宣戦布告などもあり、物語のスケールは広がる一方。
 (こういう言い方をしては何ですが)騎鉄や鳳蓮の出番も用意されているでしょうし、こうなったら風呂敷を広げられるだけ広げていただきたいと思うのであります。


 …しかし、本当に火盗改の連中の髪型だけは馴染めない。妖怪よりも嘘っぽい髪型というのは本当にいかがなものか。

「石影妖漫画譚」第7巻(河合孝典 集英社ヤングジャンプコミックス) Amazon
石影妖漫画譚 7 (ヤングジャンプコミックス)


関連記事
 「石影妖漫画譚」第1巻 変人絵師、妖を描く
 「石影妖漫画譚」第2巻 石影対凶剣士
 「石影妖漫画譚」第3巻 死闘、なおも続く
 「石影妖漫画譚」第4巻 もはや納得のバトル展開
 「石影妖漫画譚」第5巻 恋する退魔僧の熱血!
 「石影妖漫画譚」第6巻 育ってきた個性たち

|

« 「続 明治開化 安吾捕物帖」 時代を超えた作品の全貌 | トップページ | 「ふたり、幸村」(その一) 馴染み深き、そして新しき幸村伝 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/54816015

この記事へのトラックバック一覧です: 「石影妖漫画譚」第7巻 集結、ベストメンバー…?:

« 「続 明治開化 安吾捕物帖」 時代を超えた作品の全貌 | トップページ | 「ふたり、幸村」(その一) 馴染み深き、そして新しき幸村伝 »