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2012.05.09

「るろうに剣心 キネマ版」連載開始 今に剣心を描く意味

 あの、心優しき明治の剣客が帰ってきました。「ジャンプSQ」誌6月号より、「るろうに剣心 キネマ版」の集中連載開始であります。

 「るろうに剣心」については(このブログをご覧になっている方には)今更言うまでもないかもしれませんが、1994年から99年にかけて、「週刊少年ジャンプ」誌に連載された時代アクション漫画。明治11年頃を舞台に、幕末に人斬り抜刀斎と恐れられた凄腕の剣客・緋村抜刀斎こと剣心が、不殺の誓いを胸に、平和を乱す様々な敵に立ち向かうという作品です。

 言うまでもなく私は時代ものこの作品の大ファンであり、それは連載時から今に至るまで変わらないのですが――
 それでも今回の復活の報を聞いた時に少々複雑な気分になったのは、一つには掲載誌にこれまで連載されていた「エンバーミング」を長期休載までしての掲載であることと、週刊連載+αの時点で、美しい形で完結した作品であると感じていたからにほかなりません。

 もちろん今回の新作は、この夏に公開の実写映画あってのものであろうことは想像できますし、新作が読めることを素直に喜んでいればいいのですが…(マニアってイヤですね)
 しかし、蓋を開けてみれば今回の新作は、原作の物語を、今回の映画版に合わせてリメイクしたとも言える内容。まさしく「キネマ版」であり、なるほど、この手があったか――と、感心した次第です。
(ちなみに、キャラクターデザインは完全版のあれになるのではないかと密かに期待していたのですが、さすがにそれはなし)


 さて、その「キネマ版」第1回で描かれるのは、週刊連載版(以下「オリジナル」)でもお馴染みの神谷道場に、剣心が厄介になるまでを描くエピソード。
 一人道場を守ってきたヒロイン・薫が地上げ屋に苦しめられているのを、飄然と東京に現れた剣心が救う、というのはオリジナル第1話の展開と同様ですが、今回はその地上げ屋の役回りに、オリジナルの御庭番衆編の悪役・武田観柳が据えられているのがまず目を引くところです。
 そして剣心と薫の出会いの場が、観柳が主催する撃剣興業(一種のプロ剣術大会)の場であった…というのも、なるほど明治の剣客たちを描いた本作として、納得のチョイスではあります。

 物語の方は、薫の相手として選ばれた偽抜刀斎(その姿はどう見てもオリジナルに登場したあの自称古流剣術のあの人…)と間違えられた剣心が、偽者の偽者として薫と立ち会うも…という場面から始まり、観柳の手に落ちた薫を救い出すため、ついにその逆刃刀を抜く、という展開。

 こうして見ると、なるほど、オリジナルの序盤をダイジェストして、そこにわかりやすい悪役の元締めとして観柳を据えれば、こういう内容になるのか…という、よくできたリメイクという印象はあります。
 しかしそれ以上に、終盤勝ち誇って調子に乗りまくる観柳のテンションの高さや、刀を抜きかけた抜刀斎の一種ダークヒーロー的な空気は、これは間違いなく今の和月伸宏の描写であり――そこに、今もう一度剣心が描かれる意味も意義もあるのでしょう。

 そしてラストには、オリジナルではもっと後に登場する連中も含めて、懐かしい連中が顔を見せてくれるのも嬉しい。
 物語の構成的には、鵜堂刃衛がラストの敵になるのでは、と思われますが、さてそこまでにどのような「今の」緋村剣心、緋村抜刀斎を見せてくれるのか…ファンとして、難しいことを考えるのは止めて、この先の展開を素直に楽しむことといたします。

「るろうに剣心 キネマ版」(和月伸宏 「ジャンプSQ」2012年6月号) Amazon
ジャンプ SQ. (スクエア) 2012年 06月号 [雑誌]


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