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2012.07.09

「石影妖漫画譚」第8巻 総力戦開始の時!

 二ヶ月連続刊行の「石影妖漫画譚」、6月に発売になったのは第8巻。妖怪の力を用いる謎の敵を相手に、仲間を救い出すために石影たちはオールスターメンバーで挑むことになるのですが――

 次々と幕府の役人を襲い、妖怪のものと思われる強力な炎で消し炭と変える謎の人斬りを追うこととなった石影と仲間たち。
 しかし敵の正体は、その仲間の一人であるはずのご隠居・掛川武幻でありました。

 かつて入間亜蔵にかまいたちの力を与えた謎の怪人・玩具屋により、火車――それはかつて、武幻が初登場した際に彼に関わった妖怪でもあります――の力を与えられた武幻。その力は完全に石影たちをしのぎ、有り余る力のためか、何とその姿は青年時代のそれに変貌を遂げます。

 さらに、玩具屋はかつて亜蔵を倒し、この先邪魔になるかも知れぬ石影たちを排除するため、武幻同様の妖怪の力を持つ怪人たちを招集します。
 飄々としたお人好しのようでいて、破落戸たちを冷酷に惨殺する「ぬっぺっぽう」のジロー。大量のかけそばを着物の中に流し込むという異常な食事シーンがインパクト十分の「姑獲鳥」の桔梗。そしてこれまで幾度か顔見せがあった謎の外国人青年ベリー…
 さらに、玩具屋に再生されて死体人形と化した亜蔵も加えて五人、いや玩具屋も含めれば六人の敵が登場したこととなり、敵の陣容もいよいよ整ったこととなります。

 この辺りはバトルものの定番、むしろ王道とも言うべき展開ですが、さらに石影たちはそれぞれ自分たちの不足を補うために特訓を開始。「妖力」「覚醒」などイイ感じのワードも飛び出してきて、まことに私のようなバトルもの好きには楽しい展開となってきました。

 そしてそれと並行して武幻変貌の理由も語られるのですが――それまでの派手な展開のインパクトに比べると、今ひとつに感じられたのは事実。
 度重なる悲劇惨劇の前に、武幻が己に課していた誓いを破る辺りの展開は悪くないのですが、しかし、「江戸城に潜り込んで秘密を探りだす次男」「幕府御用達暗殺専門の剣士」など、所々に見られるリアリティのなさが、こちらの気持ちを萎えさせる…というのは言い過ぎでしょうか。

 これだけ人外バトルが繰り広げられているのにリアリティとは、と言われるかもしれませんが、しかし、人外の世界を描くからこそ、その基底にある江戸時代の描写にはもう少し神経を使ってもらえれば…というのは、今に始まった感想ではありませんが、やはり今回も感じてしまった次第です。


 と、また野暮を言ってしまいましたが、やはり敵味方別れての総力戦は盛り上がります。

 こともあろうに火盗改屋敷(これ、要するに騎鉄さんの役宅か…かわいそうに)を決戦場と指定してきた敵に対し、それぞれ特訓を終えた石影たちは万全の体制で迎え撃つのですが…この手のバトルもので主人公が迎え撃つ側というのは珍しい、などと思っていれば思いもよらぬ急展開。いきなり決戦の火蓋が切って落とされることとなります。
 後はもう、ひたすらバトルものの醍醐味を味合わせていただくことを楽しみとしましょう。

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