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2012.07.06

「サムライスピリッツ閃」 リアルさとゲーム性の間で

 アーケード版が約4年前、家庭用が約2年半前に出たものを今頃レビューするのも大変恐縮ではありますが、Xbox360購入(これまた今頃…)記念ということで、家庭ではXbox360でしかできない時代ゲーム、「サムライスピリッツ閃」であります。

 念のためおさらいしておけば、「サムライスピリッツ」シリーズはSNK/SNKプレイモアによるいわゆる対戦格闘ゲーム。
 1993年(19年前…!)の「サムライスピリッツ」以降、2Dもので6作(「零SPECIAL」を含めれば7作)、3Dもので4作(家庭用オリジナルの「剣客異聞録 甦りし蒼紅の刃」を含む)と、結構な作品数を数えるシリーズです。 登場キャラが武器を持つことによる一撃の重さ、伝奇性濃厚な世界観とキャラクターと、他のゲームにはない特徴を持つ本シリーズですが、もちろん私も大ファンであり、最近は家庭用オンリーではあるものの、欠かさずプレイしております(が、腕はド下手)。

 さて、前置きが長くなりましたが、本作は現時点でのシリーズ最新作にして、約10年ぶりの3Dもの。前作に当たる2Dものの「天下一剣客伝」がシリーズ最終作を謳っていただけに、当時は復活をずいぶん嬉しく思った記憶があります。

 登場キャラの方は、全26名のうち、主人公格の猛千代をはじめとして、実に半数以上の14名が新キャラ。物語の方も、従来とは一新され、欧州のレスフィーア王国なる国家を巡る冒険となっています。
 システム的にはまず標準的な3D格闘ゲームと言いましょうか…定番の打ち上げからの空中コンボはありますし、また軸避けと縦斬り・横斬りを絡めた攻撃体系は、3D武器持ち格闘ではまず定番のものでありましょう。


 そんな格闘ゲームとしての格好は整って見える本作なのですが…しかし、初めてプレイした時には、正直なところ悪い意味で驚かされました。
 …イラストと実際のグラフィックが全然違う。

 いえ、もちろんキャラのイメージイラストと実際のゲーム中のキャラ造形が異なるのはある意味当たり前、2Dと3Dなのですから同じ方がおかしい(というのは言い過ぎか)。
 しかし本作においては、北千里による適度に漫画チックなイラストと比べると、3Dモデリングされた「不気味の谷」というのは言い過ぎにしても、別物感が強く漂います(試合開始前のロード画面に大きくイラストが表示されるので尚更)。

 またゲーム性の方も、大斬り一発の脅威こそシリーズの味を感じさせてくれますが、いわゆる飛び道具が削除されたことで、どうしても近距離での差し合いが増えて、窮屈な印象が漂います。
 もちろんこれはこれでリアルなチャンバラということはできますが、今度は空中コンボの存在が…
 この辺りは、格闘ゲームとしての定番と、シリーズの個性とのせめぎ合いではあると思いますが、どうせやるのであれば、思い切りどちらかに極端に振れて欲しかった、とは感じます。

 そして個人的にもっとも大事なキャラ(とストーリー)なのですが、こちらも今一つ…地味の一言。
 それなりにキャラ造形の積み重ねがあるシリーズおなじみのキャラはともかく、新顔のほとんどは、デザインに一発でこれ、という取っ掛かりがあるキャラが少ないのが苦しい。
 新主人公の猛千代も、ぱっと見のデザイン的には悪くないのですが、動かしてみると悪く言えばモブキャラ的に見えてしまうのが苦しい。和風ゴスのヒロイン・鈴姫はその中でも一人気を吐いていると言えますが…
(ちなみに物語の中心が海外ということもあって、新キャラのほとんどは外国人。これがまた個性の薄さに繋がっているように感じられるのです)

 もっとも、良くも悪くも地味な、実際の世界にももしかするといそうなキャラクターデザインというのは、SNKの格闘ゲームの味の一つではあります。ラスボスがプロイセン軍人的なコスというのも、これはこれで悪くありません。
 しかし、先に述べたゲーム性から来る地味さの部分もあり、もう少し踏み出しても良かったのではないか、とは正直なところ感じます。
 それであればせめてストーリー面で弾けてくれれば良かったのですが、魔界のマの字もない展開はどうにも…


 ネガティブな感想ばかりになって本当に申し訳ありませんが、これが正直なところ。新しいものを求めすぎて、違うものに行きあたってしまったというところでしょうか。
 来年はシリーズ20周年ですが、その時にはこのシリーズらしい新作に出会いたいものですが…さて。

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サムライスピリッツ閃

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