「黒猫DANCE」第2巻 そうじ、突きに覚醒す
そうじこと少年時代の沖田総司の冒険をユニークな視点から描く時代漫画「黒猫DANCE」の第2巻であります。
この巻のメインとなるのは、夜叉面の辻斬りとそうじ・伊庭八郎の対決編、そしてラストには、幕末のあの有名人も登場することとなります。
日野で平和に暮らしながらも、どこか満たされないものを感じていた9歳の少年・沖田惣次郎(そうじ)。
とある事件がきっかけで、ガラは悪いが滅法強い土方歳三、茫洋としているようで大きな器を持つ天然理心流の剣士・島崎勝太(後の近藤勇)と出会った彼は、ついに生まれ育った家を離れ、江戸の天然理心流道場で暮らすことに…というのが第1巻の物語でありました。
それから江戸の道場で水を得た魚のように剣を学ぶ彼が再会したのは、かつて江戸で暮らしていた時分の幼なじみ、伊庭八郎…そう、あの心形刀流の伊庭八郎であります。
後に伊庭の小天狗として知られ、戊辰戦争では片手を失いながら箱館まで戦い抜いた幕末の快剣士も、この物語の時点ではまだまだ子供。そんな彼とそうじは、伊庭道場の門弟を次々と襲う夜叉面の辻斬りに戦いを挑むこととなります。
私は寡聞にして、実際に沖田総司と伊庭八郎の間に面識があったかは知りませんが、しかし同じ年に生まれ、同じ時期に江戸で暮らし、剣を磨いていた(作中で描かれるように、少年時代の八郎は学問の方に興味があったようですが)二人を組み合わせるのは、なかなか面白いifと言うべきでしょう。
そしてこの巻のクライマックスは、最初の対決で、辻斬りが得意とする突きに敗れたそうじが、勝太を相手に、突き破りを特訓する場面でしょう。
よく知られているように、突きは沖田総司の得意技。しかしこの時点では突き(の対処法)を身につけていないそうじは、ただひたすらに勝太を相手に、突きをかわす練習をすることになるのですが――
ここで生きてくるのが、本作の最大の特徴である、そうじが時折幻覚のように目の当たりにする、「未来の記憶」というべきものであります。
本作の冒頭で、病床の総司が土方から新選組の壊滅を聞く場面をそうしが夢として見るように、本作の随所で、この時点のそうじが知るはずもない、後年の沖田総司の記憶に――もちろんそうと知るはずもなく――そうじは触れていくことになります。
今回、この特訓のクライマックスでもこの「未来の記憶」が描かれるのですが、その場面のチョイスと、そしてそれが現実/現在のそうじの行動と重なるという構成の妙が光ります。
そしてそこでそうじが体得したものが、辻斬りとの二度目の対決で花開く場面の画面設計・描写もまた見事。
本作の剣術描写は白黒二色の画面をうまく利用して、シンプルながら迫力溢れるものとしている点に、好感が持てます。
それにしても気になるのは「未来の記憶」の存在です。
作中でほのめかされる情報を見ていると、その正体、そしてこの世界の構造も何となく見えてくるような気もするのですが…
それを判断するのはさすがにまだ時期尚早でしょう。何よりも本作は、その点を抜きにしても十分に面白い。
そうじが歩む歴史がこの先どうなっていくのか、次の巻にも期待であります。
「黒猫DANCE」第2巻(安田剛士 講談社月刊マガジンKC) Amazon

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