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2012.09.03

「新撰組秘闘 ウルフ×ウルブズ」第3巻 仲間殺しを超えて

 何故か子供姿になってしまった近藤勇が、新撰組を待つ運命を変えるべく死闘を繰り広げる「新撰組秘闘 ウルフ×ウルブズ」もこの第3巻で完結。
 三人目の異能者、そして近藤たちに子供の姿を与えた者との、最後の戦いが繰り広げられます。

 自らを子供の姿に変えることと引き替えに、「月読」と呼ばれる異能の一つ、未来視の力を得た近藤勇。その力で、新撰組を待つ滅びの未来を視てしまった近藤は、逆にその未来を変えるため、己の力を使おうとします。
 そんな彼の前に立ちふさがったのは、歴史の闇の裏側で蠢いてきた邪剣派たちの集合体・邪剣十二宗家。そしてそのリーダー格・死門もまた、近藤と同じ子供の姿、すなわち月読を持つ者で――

 と、月読争奪戦の様相を呈してきた本作ですが、この第3巻に登場するのは、月読を持つ第三の男――我々もよく知る土佐のあの男。
 月読を持つ者は、相手を殺して相手の月読を奪う定め、かくて近藤勇の天然理心流と、あの男の北辰一刀流が激突する!

 …ことになるのですが、二人のバトルがいい具合に盛り上がってきたところで、突然乱入者アリ。彼らに月読を与え、全ての戦いを操ってきた者が、その姿を現したのです。
 しかし、少年漫画、バトル漫画を読んでいる方であればよくご存じかと思いますが、この展開はいかにもまずい。新たな敵との戦いに決着がつかないうちに、ラスボスとも呼べる存在が主人公たちの前にわざわざ姿を現すというのは、これははっきり言ってしまえば打ち切りフラグであります。

 残念ながらその予感は当たり、そのままラストバトルになだれ込んでしまうことになります。
 正直なところ、ラスボスがわざわざ親切にも新撰組の屯所に乗り込んできた上に、あってなきが如き理由で月読争奪戦の終了を宣言、というのはどうにも納得しがたい展開で、そりゃ近藤も納得しないだろう、と妙な説得力を感じた…というのは、意地悪に過ぎるでしょうか。

 そんなわけでラストはかなり慌ただしい展開ではあったのですが、ただ一つ、ラスボスがある人物の体を奪って近藤の前に立ちふさがったことで、新撰組がこれまで辿ってきた、そして(歴史が変わらなければ)これからも辿るであろう「仲間殺し」のシチュエーションとなったことは、大いに感心いたしました。

(もっとも、結末を考えれば大いに皮肉な展開と言えなくもありません)


 新撰組による異能バトルというのは本作が初めてのアイディアではありませんが、しかし大いに魅力的なアイディアではありましたし、何より近藤勇が子供という意外性は非常に面白かった本作。
 それだけに色々と頑張って欲しかったところではありますが…

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