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2012.09.17

「CLOCKWORK」第2巻 幕末に想いを残す者たちの死闘

 明治10年の東京を舞台に、クロックワークの異名を持つアメリカ帰りの凄腕、勝海舟の息子の勝小鹿が活躍するガン・アクション「CLOCKWORK」の第2巻が発売されました。
 小鹿の前に立ちふさがるのは、幕末から甦ったあの英雄たち…かつて憧れたあの男を敵に回し、小鹿は戦い抜くことができるのか?

 10年ぶりの帰国早々、アメリカの死の商人・メイスン商会と事を構える羽目になった小鹿。父の命で海軍水路局に勤めることとなった彼をそこで待ち受けていたのは、凄腕の拳銃使い・藤原春政(…という名前でニヤリとされる方もいるでしょう)こと、生きていた沖田総司!
 どうにもソリの合わない彼と共にメイスン商会の策謀を追うことになった小鹿の前に立ちふさがるのは、今は警視庁警部補の藤田五郎、そして藤田の元上司であり、沖田同様に死んだはずのあの男。

 さらに、メイスン商会の背後には、小鹿がかつて憧れたあの男、やはり幕末に死んだはずのあの英雄が…
 新しい日本の姿を夢見た男たちが、何故その新しい日本を破壊せんとするのか? 小鹿と仲間たちは、東京消滅の陰謀に立ち向かうこととなります。

 次から次へと登場する幕末の、明治の有名人たちの意外な姿。伝説のガンスミスの手になる小鹿の巨大な愛銃・ペレグリンをはじめとする豪快なガンアクション。明治という時代背景に根付いたギミック(特に、今回のエピソードの中心になるのが、当時としては最先端のテクノロジーのあの乗り物なのが心憎い)。

 どこを取っても意外性とアイディアの固まりのような快作なのですが――しかし惜しいかな、本作はこの巻をもって完結となります。

 確かに、特に後半の展開はかなり慌ただしく――もっともこれは鶏が先か卵が先かと言うべきでしょうが――それ故、キャラクターやアクションの描き込みに物足りない部分があるのは事実。
 また、次から次へと登場する実在の有名人たちの前で、本作のオリジナルキャラクターたちの影が薄く感じられたのも残念な点ではあります(特に今回の敵の陰謀自体、かなり無茶があったような…)。


 しかし、そうした部分はあったとしても、やはりまだまだ序章とも言うべきこの時点での完結は、あまりにも惜しいと言わざるを得ません。
 本作に登場する幕末の生き残りたちは――次世代に属する小鹿も含めて――明治という「今」に生きつつも、皆、それに満たされず、幕末という過去に想いを残し、それを精算しようともがく姿が描かれることとなります。
 本作の謳い文句と言うべき「幕末延長戦」には、そんな彼らの想いが込められているのでしょう。

 そうだとすれば、それが如何なる結末に終わるにせよ、彼らが、彼らそれぞれの想いに決着をつけるまで、その戦いは終わらないはず。
 だからこそ――戦いの本当の結末を見てみたい。彼らにとっての本当の新しい時代の姿を見てみたい。心からそう感じます。

 無ければ作ればいい、なくしたなら見つければいい、消えかかっているなら守ればいい。
 延長戦の再開の日を祈りつつ――


※なお、本書は原作者の富沢義彦氏から御寄贈いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
(ちなみにあとがきでは本サイトのことも取り上げていただいております)

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