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2012.10.26

「信長のシェフ」第5巻 未来人ケンにライバル登場!?

 戦国時代にタイムスリップしてしまった記憶喪失のシェフが、織田信長の時代を目撃するユニークな時代料理漫画「信長のシェフ」の最新巻であります。
 前の巻では姉川の合戦の激闘が描かれましたが、この巻では静かな、しかし重要な戦いが描かれることになります。

 小谷城に捕らえられて危うく首を斬られそうになったり、辛くも脱出したと思ったら姉川の合戦逆転の鍵を任せられたりと八面六臂のケン。
 何とか合戦に一段落がついた後に彼が森可成とともに向かうことになったのは、堺の町であります。

 合戦の場に比べれば遙かに平和に感じられる堺ですが、当時の堺は有力商人の納屋衆によって合議制で統治された、一種の自治領。
 いわば外交使節(のお供)として向かったケンは、信長の存在を警戒する納屋衆との交渉を成功させるために、納屋衆が指定してきた「パオン」(=パン)を作ることになるのですが…

 およそ料理/グルメ漫画のパターンとしては「人助け」「食通凹まし」「ライバルとの対決」があるのではないかと思いますが、今回のケースは1番目でありつつも、2番目の要素も感じられるのが面白い。
 納屋衆の妨害で材料も満足に集められないケンが見せる意外な工夫が見所であるのはもちろんですが、ここである大物が彼に助け船を出すというのも、実に面白い趣向であります。


 さて、3つのパターンのうち2つが描かれると、最後の「ライバルの対決」は? という気にもなりますが、ケンのライバルになる人間が、この時代にそうそういるわけがありません。
 この後も、本能寺(もちろんあの事件からは数十年前なのですが)で信長と光秀の関係を取り持つために、きりたんぽ鍋を作るなど、和洋取り混ぜたケンの料理人ぶりは無敵としか言いようがないのですが――

 「この時代」にはいなくとも、別の時代にはライバルがいるかもしれません。
 そう、今度はタイムスリップもののパターンの一つ、主人公と同時代人(と思われる人間)の登場であります。
 それもその人物が身を寄せるのは、今後信長の最大の敵となる本願寺顕如のもとというのが実に面白い。

 まだまだ顔見せレベル、ケンとは接触もしていない段階ですが、いずれは必ずぶつかり合う相手…と想像しても、あながち間違いではありますまい。


 そして物語の方は、その顕如率いる本願寺の決起により、ケンにとっては恩人であり友である森可成が絶体絶命の窮地に陥ったところでこの巻は終わることとなります。
 あの森長可の父親とはとても思えないほど人格者の可成の窮地をケンは救うことができるのか(ここでケンが、可成が史実ではいつ死ぬのかを知らないというのが、実にリアルで面白い)。

 これまで歴史に流されてきたケンが、そろそろ歴史というものに正面から向き合うのではないか、と思いつつ、次の巻もやはり楽しみなのであります。

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