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2012.10.13

「魔界転生 地獄篇・第一歌」 幻のアニメ版魔界転生

 先日、様々なバージョンの「魔界転生」の紹介をいたしましたが、今回紹介するのはその一つ、今から約15年前に発表されたオリジナルビデオアニメ版「魔界転生」の第1話であります。

 このアニメ版、一説では全4話を予定していたとのことですが、結局発売されたのは2巻まで。DVD化も国内ではされておらず、現在では一種幻の作品となっております。

 が、幻とするにはあまりにも惜しいのがそのクオリティ。
 キャラクターそのものは漫画チックなディフォルメをされた部分もありますが、しかしそのキャラが動く動く。ケレン味たっぷりでスピーディー極まりないな超人アクションは、今見ても十分にインパクトがあります。
 そしてBGMの演奏は、一時期日本のアニメで結構使われていたワルシャワフィル。時代劇に管弦楽? と思われるかもしれませんが、作品自体がキリシタン一揆を背景にしていることもあり、違和感は感じられません。

 そしてキャストの方も、十兵衛が玄田哲章、四郎が置鮎龍太郎、森宗意軒が納谷悟郎と実力派揃い。キャスティングを見ただけでは玄田十兵衛に違和感を感じる方もいるかもしれませんが、しかし声の中に揺るぎない安定感、沈着さを感じさせてくれる演技は、さすがと感じさせられます。


 と、そんな本作ですが、この第1巻で描かれるのは、原作から大きく離れて島原の乱での柳生十兵衛と天草四郎のファーストコンタクト。
 原作での島原の乱は、冒頭の時点で既に終結しており、四郎も既に死んだこととなっていますが、本作では、その乱の中で十兵衛と四郎が出会い、十兵衛が四郎を倒す姿が描かれるのです。

 強固な(オカルティックな)結界に護られ、幕府の大軍をもものともしない原城。これに業を煮やした松平伊豆守の命を受け、十兵衛は配下の精鋭忍び集団とともに原城に潜入します――空から!
 大凧に乗って結界の及ばぬ上空に至り、そこから一気に(あたかもガッチャマンのようなスタイルで)降下した十兵衛と忍びたち。結界を構成する柱の破壊を配下に任せ、十兵衛は単身天守閣に向かいます。

 当たるを幸い敵兵を叩き斬り(というより肉塊に変え)、しかし天守に紛れ込んだ幼い姉弟は見逃して、駆け抜ける十兵衛。
 天守閣の屋根の上でついに対峙する十兵衛と四郎。しかし四郎は己の命と引き替えに一揆勢の助命を願い、十兵衛もそれを快諾と思いきや――

 そこに現れたのは森宗意軒。そして彼が手にしたものは…あの幼い姉弟の生首!
 宗意軒が残忍にも幼い命を奪い、その罪を十兵衛になすりつけたとも知らず、こちらが引くくらい激昂した四郎はサイキックパワー(としか見えないもの)を全開、天守の瓦を吹き飛ばしたかと思えば、それが宙を舞う巨大な龍の姿となって襲いかかります。

 さすがの十兵衛もこれには分が悪い、龍の顎にかけられて絶体絶命、と思いきや、ここで配下の忍びたちが空前絶後のアシストを開始であります。ある者は折り畳み式ミサイルランチャーからの連打で龍を牽制し、ある者は人間ジェット機に変形して(本当)龍に体当たり――
 この隙に脱出した十兵衛は、龍と一体化して襲いかかる四郎に、あの姉弟の生首を見せつけるという非情な手段で動揺させ、投じた一刀でついに致命傷を与えるのでした。

 …しかし、これこそが宗意軒の望むところ。炎に包まれた礼拝堂で宗意軒は四郎と娘のお蝶を交合させ、そして――
 真の戦いがここから始まることも知らず、降り積もる雪を真っ赤に染める地獄と化した原城の一角で、二つの墓に手を合わせる十兵衛の姿を以て、第1話は終わりを告げます。


 いやはや、ここまで敵味方が超人(超テクノロジー持ち含む)同士では、魔界転生の出る幕はないのでは…という気持ちは正直非情に強く感じはいたします。
 しかし、特撮版赤影か荒山徹か、と言いたくなるほどブッ飛んだアクションをハイクオリティで見せられては、もはやそれはそれとして納得するしかありません。

 そしてまた、原作以外の他のほとんどのメディアの魔界転生がそうであるように、十兵衛と四郎の対決を物語の中心として描くのであれば、物語を二人の最初の対決から描くのも、また道理でしょう。
 未完であるとわかりつつも、見ているときはそれを忘れて思わず引き込まれてしまう、そんな第1話であります。

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コメント

最近ブルーレイも発売された名作OVA『ジャイアントロボ・地球が静止する日』のスタッフが制作に加わっていたので私も期待していたのですが・・・。

十兵衛配下の精鋭忍び集団(柳生忍軍?)は設定では「柳生五人衆」と呼ばれ、OVAでは原作の柳生十人衆の役割を果たす予定だったんだろな・・・と思わせます。いや5人衆のほうは変形して飛行する奴とか携帯式連発砲とか撃つ奴がいるんで十人衆よりは強かったと思いますが(笑)。


投稿: ジャラル | 2012.10.14 12:18

ジャラル様:
やはり完結しなかったのは勿体ないですね…少なくとも、普通の人間相手にはまず倒されそうにないあの忍者たちがどう倒されるのかは見たかったような。
あの連中はどう見ても強すぎるんですが、まあ四郎が転生前であんだけ人間離れしていたので…

投稿: 三田主水 | 2012.10.14 17:29

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