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2013.01.14

「サムライ・ラガッツィ 戦国少年西方見聞録」第7巻 決戦三対三、切り離された相棒!?

 天正遣欧少年使節に加わったもう一人の少年・播磨晴信と、彼に仕える最強の忍び・桃十郎の大冒険活劇譚「サムライ・ラガッツィ 戦国少年西方見聞録」第7巻は、アユタヤ篇も絶好調。ついにアユタヤとホンサワディーの全面対決となるのですが…そこで晴信が思わぬ動きを!?

 同郷の少女・多栄を救うためにホンサワディーに潜入し、そこでマンサムキアットの暴虐を目撃した晴信。珍しく怒りを爆発させた彼は、多栄のみならず、奴隷とされていた数多くの女性たちを全て奪還してのけるのですが…
 それをきっかけに、アユタヤに宣戦布告するホンサワディー。しかし対決を決意したのは、アユタヤも、周囲の諸国も同じ。晴信の暴走が、状況に思わぬ形で――ポジティブに――影響して、ついにホンサワディーの圧制を覆さんと皆が動き出したのであります。

 しかし、たとえマンサムキアットを許せぬと考えていても、人を死なせないことを旨とする晴信にとって、戦は望ましいわけがない。
 そこで晴信と桃十郎が仕掛けた大博打とは――アユタヤとホンサワディーの合戦場のど真ん中に闘場を造りだし、そこで両国の代表者が、合戦の勝敗を賭けて戦う頂上決戦!

 かくて始まる、ナレスワン王子・晴信・桃十郎チーム 対 マンサムキアットと彼に仕える喜悦・憤怒の両怪人の三対三の大バトル。
 確かに文章にしてみると無茶苦茶な展開ではあります。しかし荒唐無稽を「現実」にしてみせるのが少年漫画、そしてそれで読む者の心を動かしてみせるのが熱血漫画であるとすれば、本作はまさに熱血少年漫画。
 ナレスワンとマンサムキアットを挑発した際の、「てめぇらはしょせん“兵”という“民”に頼る小物だッ!!!!!!」という晴信の啖呵は、まさにこの熱血少年漫画の心を見せてくれる名台詞でありましょう。


 しかしこの巻はここからが真骨頂であります。
 三対三のバトルに持ち込んだとしても、「黒い阿修羅」の異名を持つマンサムキアット・喜悦・憤怒の三位一体攻撃はあまりにも強い。一緒に戦っていては勝てない、それならば――敵を一人一人切り離し、三つの一対一の戦いとするのみ。しかしそれは、これまでの旅で支え合い、補いあってきた晴信と桃十郎、二人が離ればなれとなって戦うということ…!

 これまでの冒険を重ねる中で、晴信と桃十郎は強い絆を育ててきました。その関係は、主従というよりもはや相棒と言うべきであり――それが最もよく表れているのは二人が見交わす熱い視線。この巻でも幾度となく描かれるそれは――作者の見事な画力も相まって――二人の意志・意図が、もはや言葉などなくとも通じることを描き出します。

 しかし今回の戦いでは、晴信が喜悦と、桃十郎が憤怒と、それぞれ奇怪な能力を持つ相手と戦う…のはまだしも、完全に闘場は切り離される形となります。視線を交わすことすらできない――すなわち、間接的にすら、互いを支え、助けることができない形となるのであります。

 もちろん、晴信も桃十郎も(晴信は少々意外ですが)、互いの助けがなければ戦えないほど弱くはありません。
 しかし、1+1が2ではなく、3にも4にも、いや10にもなるのが相棒というもの。その相棒なくして、二人はいかにこの難敵に立ち向かうのか!?

 …いやはや、その答えは、こちらの予想と期待を遙かに上回る素晴らしいもの。決して相棒に依存するのではなく、しかし相棒のエエールを受けて戦うその姿には、ただただ、胸を熱くするほかありません。


 いよいよアユタヤ篇も終盤、残るはナレスワンとマンサムキアットの決戦のみですが、そこで、そしてその先何が描かれるのか――わかるのは、これからも予想と期待を上回るものが描かれるであろうということのみであります。


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