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2013.03.28

「浣花洗剣録」第24集 迷走する青年の想いと正邪の対立

 まだまだ続く若者たちの受難劇。「浣花洗剣録」。呼延大臧はようやく毒を抜くことができたようですが、まだまだ二人の主人公、二つのカップルは悩み多き状態が続きます。

 侯風と白水聖母の治療によりようやく復活した大臧…の出番は今回なく、メインとなるのはその大臧に、蠱毒に操られるままに深手を与えた珠児と、彼女を気遣うもう一人の主人公・方宝玉であります。
 前回、半ば無理やりに宝玉によって蠱毒の解毒薬を飲まされたことで、蠱毒がかなりの部分消えたかに見える珠児。しかしそれはすなわち、彼女の中から大臧の記憶が消えたということ。今は宝玉のことは記憶に残っているようですが、本当に毒を消すには全ての記憶を消さなければいけないようで、まだまだ珠児の苦しみは続くようです。

 そんな幼なじみの苦しみに心を痛める宝玉は、自分の力のなさを痛感。そんな宝玉に対し金祖揚は、すでに武林有数の遣い手となったお前は、大侠として江湖の民のために働け、と諭すのですが…色々と唐突感のある金祖揚の言葉でありますが、しかし改めて気付かされるのは、宝玉があくまでも促成栽培の武芸者であることであります。

 考えてみれば物語開始時点では、彼は武術をわずかにかじっただけのただのお坊ちゃん。それが突然に祖父を殺され、武林の勢力争いの中に放り込まれ、そして突然に武林有数の武功を体得し…生まれながらに武芸者に育てられ、武術とともに武芸者としての覚悟を育ててきた大臧に比べれば、全てが余りにも急であり、いわば常人と武芸者の間で揺れ動いている状態。
もっとも、大臧の方も覚悟が決まり過ぎなのが周囲に無用の争いを生んでいるわけで、二人の主人公それぞれが、人間として、武芸者として欠落した部分を抱えているのが、本作ならではの面白さでありましょう。

 ついでに書けば、面白いと言えば、本作において密かに物語の方向性を指し示す役にある金祖揚が、酔っぱらいの老人という設定にも感心させられます。その知識量といい頭の回転の早さといい、いきなり伝説の奥義書を持ち出すことといい…これが普通の人物であれば、物語の黒幕を疑ってもいいレベルですが、アル中の年寄りでは、ああ突拍子もなくこんな言動でも仕方ないなあ…と。
(しかし、宝玉に突っ込まれると自分は酔っ払いと逆切れするのはやはりタチが悪い…)

 閑話休題、宝玉が苦しむ一方で、もっと苦しいのは珠児の方。この苦しみに耐えかねた珠児は一人出奔、しかし心身衰弱している状態で行き倒れたところを、清風庵なる庵室の恵覚師太に救われます。
 普通であればこの方が凄い達人で解毒を! となるかと思いますが、これがまたすっとぼけた人物。門前で倒れた珠児を、勝手に助ければ責任問題になると悩んだり、珠児に出家したいと言われて、自分は出家して後悔しているので止めた方がいい、でも買い物とかしてもらえるし…と一人でまくしたてるコメディエンヌっぷりが実に愉快なのであります。
 何はともあれ師太の下に留まることとなった珠児は、一時の安らぎを得たようですが…

 一方白雲観では、彼女をそんな境遇に追いやった父・王巓がどさくさ紛れに武林の盟主となって得意顔。いよいよ白水宮討つべし! と気勢を上げていたところに、前回聖母に反旗を翻した火魔神が帰順を申し出て、大人物めかしてこれを受け入れます。
 が、そこに現れた侯風は、我が物顔に振る舞う王巓を非難、これまで散々問題としてきた掌門たちの死の真相を調べようともしない王巓の行動の矛盾を難詰します。

 売り言葉に買い言葉でついに直接拳を交える二人ですが、これは明らかに侯風の方が優位で――と、ここで上辺だけ大人風に取り繕って逃げる王巓がいかにもな情けなさ…しかし、さらに情けないのは、王巓にアジられれば気勢を上げ、火魔神が来れば殺せと騒ぎ、侯風に突っ込まれれば動揺する、武林のその他大勢の右往左往っぷりなのですが。

 と、そんな王巓の背後で糸を引く黒幕たる白三空は、これで邪派も壊滅、武林の力を削ぐことができると、絵に描いたようなもの凄い大喜びっぷり。しかしはしゃぐ三空を前に、盟主になって調子こいてる王巓は、それでは俺の立場がないとあからさまに不満顔を見せるのですが…ここでイラッときた三空が銚子を握りつぶしただけでビビって「じょ、冗談ですよやだなあ」的にごまかすのがまた…

 黒幕たちがそんなことをやっている一方で、侯風は火魔神の裏切りと、正派の白水宮攻撃が間近であることを白水宮に急報。本来であれば攻撃を遅らせるつもりが失敗しました、というのがまた侯風らしいですが、彼とて白水宮に味方するというよりは、聖母の養女となった奔月を守るのが目的ではあります。
 そして侯風が奔月を連れて行くことを許した聖母。木郎神君も脱塵郡主も援軍を連れてくるとのことですが、しかし…というところで以下次回。


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