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2013.04.08

「水滸伝」 第01話「洪大尉 誤って妖魔を逃がす」

 ついにこの4月から日本でもCSで放送が始まりました「水滸伝」(原題「新水滸伝」)。これまで水滸伝とくれば何かと騒いできた私であるからしてもちろん見逃すはずもなく、これから全話紹介していきたいと心に決めている次第です。

 さて、この第1集はいきなり意外な場面から始まるのですが、何が意外かといえば、今回のエピソードの内容は、原典でいえば第14,15回。途中で第1回の内容も語られますが、その間のエピソードを飛ばしてというのは、原典を見慣れた人間にとってはかなり意外に感じられます。

 冒頭に描かれるのは花石綱(皇帝の庭園に運ばれる珍花・奇石)運搬の様子。その一行に、県知事の代理として加わっていたのが、このウン城県の役人・宋江。身分が低いからと一行の面々に嫌がらせをされようとも泰然としている彼は、器が大きいのか卑屈なのか…
 それはさておき、そんな彼に近づいて来たのは、一行に加わっていた道士・公孫勝。
 好漢として知られる宋江を見込んで公孫勝が語り始めたのは、彼らが生まれる前、竜虎山から百八の魔星が解き放たれ、人界に転生したという原典では冒頭に語られるあの物語であります。
 この過去話、かなり原典に忠実な展開なのですが、原典でも登場する竜虎山の虎と大蛇がいきなりCG感バリバリで…水滸伝にはこの先虎が何匹も現れるのですが、いきなり不安感が高まります。

 閑話休題、この百八星の首領こそが宋江だと語り、様々な術を見せつつ、彼に不義の財宝である生辰綱十万貫の強奪を持ちかける公孫勝。
 …なのですが、ここで公孫勝のことを全く信用しない宋江。まあ、いきなり転生話を始めた上に、見せる術も実は全てあっさりと見破られるような奇術の類(本作ではもしかしていわゆる仙術妖術の類は存在しないのかしら…)とくれば、うさんくさい奴と思っても仕方ないかもしれません。

 しかし、だからと言って公孫勝を役所に突きだそうというのは、天下の好漢としていかがなものか。おまけに自分までグルだと疑われて、姿をくらました公孫勝を捜す羽目になった宋江は、ある意味実に期待通りの情けなさであります。

 おかげで宋江と、駆り出された雷横をはじめとする捕吏の皆さんがパトロールをしていると、お堂で寝ていたのはピザい半裸を晒した赤毛赤痣の不審人物。
 しかし捕らえようとしてみればこれが強い強い、捕吏を文字通りちぎっては投げする男――劉唐をようやく人海戦術で捕らえ(ここでさりげなく插翅虎の渾名通りの身軽さをアピールする雷横が楽しい)、近くの東渓村に向かうことになります。

 そこで宋江と雷横が出会ったのは、名主にして近隣に並びなき好漢・晁蓋。どうやら宋江は晁蓋に何かを感じ取ったらしく――というところでブツンと切れて以下次回、というのは安心の中国ドラマクオリティではあります。


 というわけで、原典で冒頭に登場する史進・魯智深・林冲という人気者たちの出番を飛ばして始まったこのドラマ版ですが、もちろんそれは、梁山泊の中心人物たる宋江をまず登場させるためでありましょう。
(喩えとして適切かはわかりませんが、ドラマ版の「笑傲江湖」で令狐冲が冒頭から登場したように…)

 もっともこの方式は、主人公が強烈な魅力を持つ人物の時に生きるものであり、原典に忠実に、実にパッとしない宋江の場合はどこまで効果的かは微妙ですが、しかし個人的にはどの「水滸伝」でも必ず描かれる(当たり前と言えば当たり前ですが)冒頭部分がスルーされたのは、これはこれで新鮮に感じられます。

 キャスティングもかなり原典通りのイメージでありますし(ただし、アップになった時に付けひげがくっきりとわかってしまうのはいかがなものか)、衣装もかなりしっかりしたものを使っている印象。
 この先の展開を期待しても良さそうであります。



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