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2013.04.17

「水滸伝」 第03話「九紋竜 東京を脱出する」/第04話「魯堤轄 翠蓮を助ける」

 これまでプロローグ的な展開だった「水滸伝」も、この第3・4話に入り、いよいよ本編に入った印象。今回は林冲・史進・魯智深と序盤の人気者が登場しますが…しかし、いかにも本作らしい捻りもあります。

 冤罪をかけられたままの宋江の前に公孫勝が自首してきて…という、前回の展開をふまえての冒頭はさておき、第3話に登場するのは豹子頭林冲。八十万禁軍の武術師範であり、妻には優しい顔を見せる林冲ですが…その部下として登場するのはなんと史進。
 原典ではこの時点で直接の面識はない二人ですが、ここでは史進の師であり、かつては林冲の同僚だった王進が、修行を終えた史進を林冲に預けたという設定で、これはこれで納得の展開です。

 高キュウに理不尽な扱いを受けて逃亡した王進が、旅先で史進と出会い…というのは原典同様ですが、この辺りは全て回想シーンで説明。どうやら本作は、原典が連結的に進んでいくのに対し、平行してエピソードを語っていくようにも感じられます。

 さて、林冲は生辰綱輸送のために北京の将軍に抜擢されるのですが、史進は王進が亡くなったと知り、ベロンベロンに泥酔。軍を抜け、師の墓を求めて東京を飛び出すことになります。一方の林冲も、高キュウをはじめとする俗物連中の言いなりとなる人生に嫌気がさしたところに、妻が危うく高衙内の毒牙にかけられそうになった(が、ブチのめすことができない)ために、憤懣やるかたなし…と、崩壊の予感を感じさせたところで第3話は終わります。

 さて、このドラマ版は、かなり格好良い役者さんが使われているのですが、この林冲はさすがに(原典はさておき)悲劇のヒーローだけあって、渋格好良い上に、きっちりと動ける役者さんを当てているのは素晴らしい…が、参内した林冲が童貫らにネチネチいびられる際に、「西施や楊貴妃のよう」って言われるのは一体いかなることか!? パワハラじゃなくてセクハラじゃないですか…

 そして役者といえば、個人的に懐かしいのが林冲妻役のアニタ・ユンと、高キュウ役のレイ・チーホン。かつてはボーイッシュな魅力を振りまいたアニタ・ユンは年相応のしっとりとした女性となり、チーホンは…あまり変わりませんね。「男たちの挽歌」の時の憎々しさを思い出して久々に「チーホンこの野郎!」という気分になりました。

 さて、第4話では、王進(の墓)を探しに来た史進が魯智深(と李忠)に出会うという展開で、こちらはほぼ原典通りです。
 しかし本作の魯智深は、酒好きで豪快な暴れ者という性格はそのままながら、人付き合いが苦手で(というよりたぶん敬遠されてて)花や動物だけが友達というユニークな設定(あ、「花和尚」ってそういう…)。
 史進と出会うのも、どこかで拾った小魚を手の中に収め、早く入れ物を出せと茶屋の親父を小突き回すという、ちょっと変わったシチュエーションです。

 そこで魯智深(正確にはこの時点では魯達)を破落戸と見て成敗しようとした史進と問答無用で激突になるわけですが…取っ組み合ううちに何故かお互いの着物がはだけてしまうというお色気格闘漫画みたいな展開に。そしてお互いの裸体(に彫られた刺青)に見とれてたちまち和解という…間違ってはいないが間違って聞こえる展開であります。

 魯達の力で王進と母の墓はすぐに見つかり、憂さ晴らしに一杯やろうぜと酒家に向かう二人が、史進の元師匠である李忠と出会って…という展開も原典通りですが、この李忠は何故か辮髪で、これまた何故かいつも木の踏み台を持ち歩いているというキャラクター。踏み台の方は、庶民は武器を持ち歩いてはいけないから、という理由だそうですが…

 さて、この三人が酒を酌み交わしているところで出会ったのが、今回のヒロイン・金翠蓮。原作でも可哀想な女性でしたが、ここで語られる彼女の身の上は、それをさらに何倍にも増幅したような鬱展開。曰く――
悪人・鎮関西の地上げで家に火を付けられる→それが元で母が死亡、父も病人に→身に覚えのない借金を背負わされ、鎮関西から妾になれと言われる→断ったら宿から追い出されるので泣く泣く妾契約をしたら代金は豚一頭分→虐待された挙げ句鎮関西の妻から顔を潰せと強制→鎮関西の家から飛び出せば一銭ももらってないのに百倍に膨れた妾の代金を返せと言われる→仕方なく小唄を唄っておひねりで暮らす→髪は既に切って売りました
書いていて気が滅入ります。

 もちろん激怒した魯達は鎮関西のところに殴り込むと言い出しますが、史進はそれをなだめて、まずは魯達の上役に訴え出ることに。しかし高官と結んだ鎮関西には役所も手が出せず、魯達エキサイト…で次回に続きます。
 面白いんですが、このエピソードで引っ張ることになるとは…


関連サイト
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