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2013.04.05

「妻は、くノ一」(漫画版) 陰と陽、夫婦ふたりの物語

 いよいよTVドラマの放送が目前に迫った「妻は、くノ一」。原作の方も、続編にして前日譚というユニークな「蛇之巻」がスタートしましたが、こちらは「サムライエース」誌に掲載の漫画版「妻は、くノ一」の単行本であります。

 本書に収録されているのは、主人公の一人である雙星彦馬が、もう一人の主人公・織江を求めて江戸に出るまでを描いたプロローグと、江戸での彦馬と織江、それぞれの姿を描く第4話まで。
 原作小説でいえば第1巻「妻は、くノ一」から、第2巻「星影の女」の前半辺りに該当するエピソードであります。

 以前第1話・第2話については雑誌掲載時に紹介いたしましたが、今回、未読だった分を読んでみると、こちらもなかなか興味深い内容となっております。
(なお、以前の紹介時に、江戸に来るまでのエピソードがばっさりカットされているのがユニーク、などと述べましたが、プロローグの形式で漫画化されていたのですね。お恥ずかしい次第です)

 まず驚かされたのは、プロローグの語り手が、彦馬の養子である雁二郎であること。
 原作読者にとってはお馴染みの、一種の名物キャラである雁二郎ですが、彼の本領発揮はまだまだ先で、本書で描かれたエピソードではまだまだ脇役。しかしそんな彼が、しれっと(?)こういう形で存在感をアピールするとは、これはこれでらしいと言うべきでしょうか。

 もっとも、個人的には雁二郎というキャラの最大の特徴である、義父である彦馬よりもよほどおっさんくさいという部分が、この漫画版のキャラデザインからはあまり感じられないのは残念ではありますが…

 そして、江戸に出た彦馬の名探偵ぶりと、彼の人となりを描いた第1話・第2話に続く第3話・第4話で描かれるのは、その妻にしてくノ一たる織江サイドの物語です。
 彦馬サイドを陽とすれば、織江サイドは陰――あくまでも非情な御庭番の世界。任務のためであれば潜入先…はおろか、同じ御庭番の仲間まで謀らなければならない、織江が身を置くそんな世界の姿が、ここでは描かれることになります。

 原作の方では、この織江サイドの、いわば忍者ものとしてのエピソードが展開するのと並行して、彦馬サイドの、時代ライトミステリものとしてのエピソードも描かれていたのですが、本書ではそちらをばっさりカット
 それはもちろん、頁数に因るところが大きいかとは思いますが、しかし彦馬サイドのエピソードをカットすることによって、二人の住む世界の違いをより強調できているのでは…と感じた次第です。

 そしてもちろん、二人の間の隔たりを描けば描くほど、それだけ二人の間の絆の強さもまた、示されることになるのですが――


 さて、本書で気になるのは、巻数表記がない点。物語的には明らかに中途であるため、ここで終わってしまうのかと少々心配になりますが、これは原作同様、2巻以降に改めてナンバリングされるというスタイルなのかも…と期待しておくことといたしましょう。

 …ただ、忍者の技に名前をつけるのはいかがなものかと。


「妻は、くノ一」(漫画版)(黒百合姫&風野真知雄 角川書店) Amazon
妻は、くノ一 (単行本コミックス)


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