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2013.04.25

「セブンソード」 ちょっと詰め過ぎた七剣士の面白アクションバトル

 清朝の出した禁武令を背景に、武術家たちを惨殺していく風火連城率いる武装集団。彼らを倒し、風火連城に狙われた村を救うため、老武術家・傳青主は、村娘の元英と幼なじみの志邦とともに天山に向かう。彼ら三人の訴えに応え、四人の達人が下山。七人の剣士は真っ向から風火連城に戦いを挑むのだが…

 今頃でまったく恐縮ですが、個人的にドニー・イェン祭りということで「セブンソード」を観ました。原作は武侠小説御三家の一人(で最も日本で紹介が遅れている)梁羽生の「七剣下天山」ですが、かなり変更が加えられている様子であります。

 舞台となるのは清朝初期、皇帝が出した武術の研究・実戦を禁ずる≒反体制運動を取り締まる「禁武令」が出された…という設定で描かれる本作。
 この禁武令をバックに、辺境で略奪と虐殺を繰り返す男・風火連城の軍団から反清結社・天地会(武侠ファンならお馴染みの名前ですね)のメンバーが潜む村を守り、風火連城を倒すため、七本の名剣を携えた七人の剣士が立ち上がる…という物語であります。

 メンバーの数やシチュエーションから、日本公開時には「中国版「七人の侍」」というコピーで宣伝された本作ですが、なるほど似ている部分はあるものの、そこは武侠小説原作、いやそこは香港映画であります。
 七人の剣士は一人一人が(実力にムラはありますが)数十人は倒すことができる達人揃い、そして彼らの持つ剣もギミック満載の面白ウェポン。村を守るという設定なので立て籠もるかだけかと思いきや、二度に渡って風火連城の本拠地に乗り込み、火を付けるわ馬を行動不能にするわ女を奪うわと大暴れです(もっとも、それが後で大惨事を引き起こすのですが…)。
 もちろん敵側も空飛ぶギロチンをはじめとする面白ウェポン使いばかり、何よりも首領を除いた配下たちはKISSばりの白塗りビジュアルのヒャッハー軍団という無国籍ぶりも楽しいのであります。

 …しかしながら、本作の全般的な作風は、ある種地に足のついた、乾いたタッチ。七剣や村人たちとの間で幾重にも絡みあう愛憎劇は、本作に複雑な陰影を与え、特にそれは、ドニー・イェン演じる七剣の一人・楚昭南と、彼により風火連城のもとから助け出された高麗人女性、そして風火連城自身の関係に最も強く表れていると言えるでしょう。
 アクションシーンも、もちろん先に述べたようにギミック満載のド派手なものではありながら、ワイヤーワークやCG満載ではなく、どこか泥臭い手触りの、人間同士のぶつかり合いという印象を受けるのであります。
 この辺りの作風は、同じツイ・ハーク作品であり、やはり辺境の乾いた世界を舞台に、血と汗と泥にまみれた(面白武器による)戦いが繰り広げられる「ブレード/刀」を彷彿とさせるものを感じました。


 …が、いかんせん2時間半を超えるそれなりの尺をもってしても、詰め込みすぎの印象は否めません。上で述べた三角関係も含めて、全ての人間関係の描写が断片的なものに留まり、それがどこかすっきりとしない空気となって全編を覆っている――というのはいささか大袈裟ですが、それがつっこみどころを生んでいるのは間違いありますまい。
 さらに厳しいのは、主人公側に戦う理由が弱い者がいる点であります。特にこの手の作品では、本来当事者ではない助っ人として、主人公たちが何のために戦うのか、何を背負って戦うのかが(その描写の分量は問わず)描かれてこそ、彼らの戦いの意味が際立ち、それが戦いを更に盛り上げるわけですが、本作の場合はそれが弱い。
 村の出身である志邦と元英、かつての風火連城の上司である傳青主はむしろ当事者なのでさておき、天山側の四人は基本的に師の命に従っているだけなのが、終盤まで尾を引いた感があります。それが武林の人間、と言えばそれまでかもしれませんが…


 そんな弱点を抱えた本作ではありますが、先に述べたとおり面白アクションバトルとしてはもちろん一級。個人的には長髪・フード姿のドニー・イェンのアクションと、超美人ではないけれども相変わらず魅力的なチャーリー・ヤンの姿を見れただけでも相当満足できたので、決して嫌いな作品ではありません。

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