「水滸伝外伝 浪子燕青」 第1回「後宮の燕青」
中国ドラマ「水滸伝」全86話の日本での放送とDVD化はそれなりに話題となっているようで、もしかして今年は水滸伝が来るのでは!? と思っている昨今ですが、新たな水滸伝漫画「水滸伝外伝 浪子燕青」がWEBコミックアクションで連載開始されました。タイトル通り燕青が主人公なのですが…ですが…
「水滸伝外伝」と冠しつつも、少なくともこの第1話の時点では、「水滸伝」の時代背景や人物名を使いつつも全く別な物語が展開されていく本作。
なにしろ驚かされるのは燕青のキャラクター――彼は大宋国の男人後宮(…えっ)で徽宗皇帝に寵愛(意味深…ではなくて直球)される美青年という設定なのですから…
父親である禁軍大将の燕順(!)から献上されて徽宗の傍に侍るようになり、愛人兼護衛として虚無を抱えたまま生きる燕青の物語…のようですが、やはり徽宗と燕青の関係にどうしても目が行ってしまうのが事実。
なるほど、燕青はもともと、何となく…いやかなりそういう方面でもしっくりくるキャラクターではありますが(北方水滸伝でも、濡れ衣ではありましたがそう思われておりましたし)、まさか「外伝」とはいえ、徽宗とこうなるとは意外、というほかありません。
もちろん、水滸伝が乙女ゲームのソーシャルゲームになる時代ですから、耽美色の強い水滸伝があっても全く構わないと思いますが…
しかしながら、考えてみれば燕青の渾名が「浪子」である一方で、史実では風流天子として(悪い意味で)知られた徽宗もまた、「浪子」と呼ばれた人物。
それを考えれば、燕青と徽宗は似た者同士、本作は二人の浪子伝と言うべきものになるのかもしれず、なかなかに興味深いところではありますが…さすがにそれは第1回から考えすぎでしょう。
この第1回では燕青の人物造形と背景がメインに描かれましたが、ラストでは男人後宮取締の戴宗(また吃驚)が徽宗に対して推挙した武芸師範として盧俊義が登場。
言うまでもなく原典では盧俊義は燕青の主人であるわけで、イメージイラストでも燕青・徽宗・盧俊義が並んでいることを思えば、彼がこの物語で大きな役割を果たすことになることはまず間違いありますまい。
正直に言えば怖いもの見たさという部分もありますが、雑色系水滸伝ファンとしては、やはりこの先の展開も見届けるしかない、と思っているところであります。
上で触れたように、原典の登場人物が設定を変えて登場していると思しい本作ですが、冒頭では謀叛の疑いで宮仕えの押司(胥吏)が燕青に処刑される場面が登場。
水滸伝で押司と言えばあの人、と半分本気で心配しましたが、大丈夫のようで一安心。
にしても、胥吏自体は中央官庁にもかなりの数がいたのでまあよいのですが、その処刑を(本人の命令とはいえ)皇帝の眼前で行うのはさすがにいかがなものか…
「水滸伝外伝 浪子燕青」(七重正基 WEBコミックアクション連載)
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