« 「殿といっしょ」第8巻 殿は時空を超えて | トップページ | 「小説 仮面ライダー響鬼」(その2) 継承する英雄 »

2013.06.09

「小説 仮面ライダー響鬼」(その1) 競演! 響鬼と嵐!!

 江戸時代、吉野に隠れ住む「鬼」たちの里は、かつて里の住人だった男が生み出した血車党の化身忍者が、再び世を騒がそうとしていると知る。その探索に送り出されたヒビキは、その最中に、鷹のような異形に変身する忍者ハヤテと出会う。彼こそはかつて血車党を滅ぼした変身忍者嵐だった…!

 現在、講談社キャラクター文庫では、いわゆる「平成仮面ライダー」の小説版を、一作品につき一冊ずつ刊行しています。が、基本的に私の興味の範疇外であったはずのこのシリーズの一冊、「仮面ライダー響鬼」の小説版が、江戸時代を舞台にした内容、それもあの「変身忍者嵐」とのクロスオーバーとくれば、黙っているわけにはいきません。

 もともと「響鬼」は、「嵐」とは縁深い作品。もともと「仮面ライダー」ではなく「嵐」モチーフの作品として作られていたという話もあるようですし、劇場版の敵「血狂魔党」は「嵐」の血車党モチーフ、さらにTV本編にも「嵐」そっくりの「鬼の鎧」なるアイテムも登場したのですから…

 さて、そんな関係の両作品をベースとした本作は、「嵐」の後日譚であり、TV版「響鬼」の遙か過去の物語として設定されています。(わざわざTV版とつけたのは、劇場版とは鬼に関する設定で平仄が合わない部分があるため。個人的には劇場版の鬼の扱いも気に入っていたのですが…それはさておき)

 平安時代、都を魔化魍から守るために生まれた「鬼」たちは、その後の武士が力を持つにつれ都を追われ、吉野の山中に潜んで朝廷のために力を磨く生活を続けていた…という設定自体なかなか刺激的ですが、そこに「嵐」の世界観が飛び込んでくるのですから面白い。物語が開幕するやいなや、魔化魍に追い詰められたタツマキを助けるのがヒビキ…という時点で、こちらのテンションも大いに上がります。

 このタツマキが鬼の里を訪れたのは、かつて里の住人だった谷の鬼十(!)が生み出した血車党の化身忍者が再び暗躍を始めたため。鍛えても鬼になれなかった鬼十が、自分なりに力を得る手段として編み出したのが化身忍者の法…という、その手があったか! 的なクロスオーバーであります。
 そしてその探索役に選ばれたのが、若き鬼であるヒビキとサキ。鬼十の研究所跡を調べていた二人は、そこで誤解からハヤテと激突、響鬼と嵐、共に音の力で変身する二人のヒーローの対決が始まることとなります。
(もちろん、駆けつけたタツマキのおかげですぐに誤解は解けるのですが)

 ここで描かれるヒビキは、もちろんTV版とは別人で、飄々とした部分は共通するものの、自分のアイデンティティーに悩む、より若いキャラクターという印象。一方のハヤテは、生真面目で礼儀正しい、あのTV版のハヤテであります。
 そんなある意味好対照の二人が、時に協力し、時にぶつかり合いながら強大な共通の敵を向こうに回して戦う…というのは、ある意味定番展開ではありますが、しかし「響鬼」の前日譚として、そして「嵐」の後日譚として、押さえるべきところは押さえ、踏み込むべきところは踏み込んでいるのが実に嬉しいです。
 個人的には最近の映像での(劇場版での)クロスオーバーがあまり好きになれないだけに、本作のようにある意味生真面目に元ネタを扱ってくれただけでも、大いに好感が持てます。
(ただし本作、血車党壊滅後という設定ながらハヤテが嵐に変身できたり、ガンビームを使わないところを見ると、西洋妖怪編以降は存在しない設定のようで、ちょっとややこしいのですが…)

 長くなるので次回に続きます。


「小説 仮面ライダー響鬼」(きだつよし 講談社キャラクター文庫) Amazon
小説 仮面ライダー響鬼 (講談社キャラクター文庫)


関連記事
 「変身忍者嵐」 放映リストほか
 「仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼 DC版」 一本の映画としての再生

|

« 「殿といっしょ」第8巻 殿は時空を超えて | トップページ | 「小説 仮面ライダー響鬼」(その2) 継承する英雄 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/57556948

この記事へのトラックバック一覧です: 「小説 仮面ライダー響鬼」(その1) 競演! 響鬼と嵐!!:

« 「殿といっしょ」第8巻 殿は時空を超えて | トップページ | 「小説 仮面ライダー響鬼」(その2) 継承する英雄 »