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2013.06.10

「小説 仮面ライダー響鬼」(その2) 継承する英雄

 前回の続き、「仮面ライダー響鬼」と「変身忍者嵐」の夢のクロスオーバー、小説版「仮面ライダー響鬼」の紹介であります。

 しかし、楽しめるのは、「十三人の嵐」、さらにラスボスの名前やエピローグに登場する彼など、マニアックなくすぐりの部分だけではありません。

 個人的に何よりも嬉しかったのは、本作におけるヒビキのキャラクター造形であります。上で述べた通り、本作のヒビキは、TV版の「大人」のヒビキではなく、自分の往くべき道にまだ悩んでいる、未完成な人物という設定。
 孤児として里に拾われ、ある意味成り行きで「鬼」となった彼が、何のために戦うのかという問いかけを突きつけられ(それを、元は人間である化身忍者との戦いの中で突きつけられるというのが心憎い)、いわば先輩ヒーローたるハヤテとの対峙の中でそれを自覚していくシーンが、本作の肝でありましょう。

 個人的には、TV版のヒビキが(そして「鬼」という存在が)既に人間として、そしてヒーローとして完成したキャラクターであった点に、個人的には不満があったのですが――もちろんそこは成長担当のキャラがいたとはいえ――なるほどその部分をこう補ってきたか、と大いに納得であります。
(更に言えば、一種の修行万能論へのアンチテーゼ的なものが、前半のメインライターにより描かれたことも強く印象に残ります)

 そしてまた終盤に至り、本作が時代劇として――すなわち、過去の時代を舞台として――描く(「嵐」とのコラボ以外の、もう一つの)理由が示されることとなります。
 それは受け継がれる魂の存在を描き出すこと。物語の根幹となる部分ゆえ、ここで詳細には触れませんが、ハヤテとヒビキを結ぶ運命が、ヒーローの魂の継承として鮮やかに昇華し、そしてそれが後々にまで繋がっていくという結末は、(やや強引な部分はあれど)美しいと言うほかありますまい。

 「鬼」が長い歴史を持つ存在として描かれ、そしてTV版の中で師匠と弟子の関係が大きな意味を持ってきたように、「継承」が大きな要素となっていた「響鬼」。
 それをより大きなスケールで、過去から現代に繋がる魂の存在を描くための時代劇であったかと、大いに納得いたしました。


 「響鬼」と「嵐」のクロスオーバーという派手な要素だけでなく、両作品を補い、より深化させてみせた本作――
 実を言えば、私は「響鬼」という作品のあまり良いファンであるとは言えませんが、しかしそれでも本作は、控えめに言ったとしても、原作ファンも安心して楽しめる作品ではないかと感じます。そしてもちろん「嵐」ファンは言うまでもなく!(個人的には、最初に「嵐」と聞いた時、絶対漫画版の方だろうと思っただけに、きっちりとTV版で来てくれたのが実に嬉しい。しかも、漫画版の魂も随所に感じさせつつ…)


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