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2013.06.27

「いくさの子 織田三郎信長伝」第4巻 風雲児、海へ!

 前の巻が出てから久しぶりの印象がありますが、織田信長の少年時代を描く「いくさの子 織田三郎信長伝」第4巻であります。前の巻が信長の父・信秀の死を中心にした、人情もの的内容であったのに対し、この巻ではそれまでの路線に戻って(?)信長の冒険が意外な舞台で始まることとなります。

 信秀の死に悲しむ間もなく、未来に向けて力を蓄える信長一党。父の死は影武者を立てて偽装し、そして己はうつけの仮面をかぶり――尾張を狙う者の目をくらまし、いつか立つ日のために信長が向かった先は…何と、大海原。
 信長と海というのは、後に彼が――この巻にその少年時代が登場する――九鬼嘉隆麾下の水軍を大いに活用したことを考えれば、さほど不思議ではないのですがしかし取り合わせとしては、大いに意外、と言うべきでしょう(ただし、本作の冒頭において、既に信長は海での冒険を繰り広げているのですが)。
 だが、それがいい。
 主役のみならず、脇役、敵役と、現在無数に発表されている戦国ものにおいて、おそらくは最大の人気者である信長。言い換えれば、手垢のついた題材である信長を描くのに、並みのやり方では魅力は感じられないのですから…

 かくて、本作の信長は、師である沢彦宗恩と南蛮人シスコ、そして武羅衆(母衣衆)の不良少年たちとともに、難破した南蛮船を修理し、堂々と海に乗り出していくこととなります(そしてその理由が、密かに大量に入手した火縄銃を、人目につかぬよう試射するため、という理屈がつけられているのがまた楽しい)。
 そして信長が狙うのは、海を騒がす海賊たち。いかにも原哲夫の悪役的な造形の海賊たちを叩き潰し、いわば悪党の上前をはねていく信長一党の活躍は実に痛快、まさか信長ものでこんな展開があるとは、と驚くと同時に、素直にワクワクしてしまうのです。

 そしてこの巻ではサプライズゲストが――南蛮船の隠し場所に向かう途中、嵐に巻き込まれて辿り着いた島で、海賊に捕らわれた信長たち。そして彼と同じく捕らわれた、幼くも力強い瞳の少年、その正体は…何と、かの前田慶次郎。
 「花の慶次」とコラボ、と言ってしまうのはちょっと違うと思うのですが、それでも有名人同士の意外な出会いというのはやはり楽しいものであります。


 さて、この巻のラストには、後に信長の嫡男たる信忠を生むことになる生駒類が登場。冷静に考えたら4巻ラストにしてようやくヒロイン的な存在が出てきたというのには驚かされますが、しかしどうみてもただのヒロインでは終わらない印象で、果たして彼女が物語にどう絡むのか、こちらも要注目でしょう。


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