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2013.06.07

「水滸伝 WARRIORS FROM THE WATER MARGIN」 激突! 武芸大会5vs5

 百八人の英雄豪傑が集まり、向かうところ敵なしとなった梁山泊。その勢力を恐れる高キュウは、武術大会の名目で梁山泊の主立った面々を都に呼び寄せ、抹殺することを目論む。行けば死の罠、行かねば天下の笑いもの――宋江は武術大会への参加を決断、燕青ら五人の代表が選ばれるのだが!?

 1983年に中国で製作され、日本では1984年に日本ヘラルドの配給で公開された水滸伝映画であります。私は劇場公開時に見たのですが、その後本作今に至るまで日本でDVDされておらず、見たい見たいと思い続けていたものが、ようやく海外版DVD(何故か日本語字幕付き)で発売されているのを見つけ、今回約30年ぶりに見直すことができました。

 さて、本作の最大の特徴は、そのストーリーでありましょう。
 時間が限られており、原典の全てを映像化するわけにはいかない映画や舞台の場合、原作の一部分を取り出して映像化するのはむしろ当然。それが他の作品では、林冲の受難であったり、盧俊義の仲間入りであったりするのですが、本作が題材としたのは、原典第74回の泰山奉納相撲のエピソードなのです。

 このエピソードは、梁山泊に百八人が集った直後、梁山泊が宋に帰順する前の時期に、梁山泊から外に出かけた燕青(と李逵)が、泰山の奉納相撲に参加、二年間不敗だった任原を倒して大暴れ、という内容。
 簡単に言ってしまえば燕青というキャラクターの一挿話なのですが、これを本作はアレンジして、梁山泊vs宋の5vs5の武術大会にしてしまうのですから驚かされます。

 なるほど先に述べたように、この時期は百八人が一人も欠けずに梁山泊に集っていた、ある意味一番おいしい時期。
 そこに目を付けたのはさすがと言うべきかもしれませんが、しかし5vs5バトルというのは、コロンブスの卵というか何というか…
 かくて、燕青・石秀・武松・魯智深・史進という代表選手が、任原ら5人の格闘家(任原以外はオリキャラ)と対決するという、東映まんが祭りチックな特別篇となったのであります。

(ちなみにその他の好漢は宋江と時遷がメインどころとして登場するほか、脇役に戴宗・呉用・盧俊義・李逵・扈三娘ときて、エンドクレジットでは花栄、阮小二、阮小七、関勝、索超、周通、徐寧、秦明の名前があるのですが、正直なところ映像では判別ほとんど不可能)


 そんな本作ですが、作りは30年前ということを差し引いても相当安いというのが正直なところ。セットやコスチュームなどは、きょうびの武侠ドラマの方が凝ったものに見えます。
 物語の方も、途中で宋江が高キュウ方に攫われて人質になったり(やっぱりこういう役回りか…)、高キュウを親の仇と付け狙う本作オリジナルのヒロインが登場したり、宋江たちの留守に官軍が梁山泊を攻めたりと、それなりの起伏はあるようでいて、基本的にはひたすら戦っているだけで、それほど面白いものではありません。
(水滸伝オタとしては、高キュウに今回の作戦を献策したのが王瑾というのに、ちょっと驚きましたが)
 出演者も、実際の武術家を多数動員…ということは、演技面はあまり期待できないわけで――

 が、しかし、その分格闘シーンは、なかなか、いやかなり素晴らしい。
 本作の見せ場はこれ、いやこれしか見せるものはない! とばかりに次から次へと繰り出される格闘シーンは、技の性質上一発で勝負がつくものではないだけに、延々と殴る! 蹴る! の繰り返しで、一歩間違えるとダレかねないところを、動きのキレでカバーしている印象。

 特に武術大会の第3試合、武松が見せる酔拳の連続技は、ほとんど格闘ゲームのコンボの如き繋がり方で、「こういう形で繋がっていくのか…」ともはや感心するほかありません。
 ちなみにこの武松の酔拳、それまで宋江が人質に取られて八百長を強いられていたところに、宋江が救出されたのを知って一転攻勢に出るシーンで披露されるもので、初見時の痛快な印象は、今回見ても変わりませんでした。


 何はともあれ、映像化された水滸伝の中ではそれなりにレアな部類に入るものであり、よほどのファンでもない限りおすすめはいたしませんが、しかし水滸伝という作品の可能性としては、なかなかに興味深いものがある本作。
 ある意味私の水滸伝好きの原点…というと真面目なファンには白い眼で見られそうですが、こういう切り口もある、ということは忘れてはいけないと思います。…いや、私が覚えておくのでよいです。


「水滸伝 WARRIORS FROM THE WATER MARGIN」(Rarescope DVDソフト)


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