« 「江戸忍法帖」 そして江戸から柳生へ? | トップページ | 「ダッチ・シュルツの奇怪な事件」 クトゥルー+ギャングの伝奇ホラー再び »

2013.07.06

「メテオラ」連載開始 異形の魔星、豹子頭林冲降臨!

 「B's-LOG COMIC 」第6号より、琥狗ハヤテの「メテオラ」の連載が始まりました(pixivコミックでも読むことが可能です)。よりわかりやすく言い換えれば、かつて朱鱶マサムネ名義で発表された「ネリヤカナヤ」のリブート、豹子頭林冲を主人公とした水滸伝漫画の復活なのであります。

 ある日、路傍に捨てられていたところを王進に見つけられた赤子。しかしその赤子の顔はあたかも豹のそれの如く、そしてその身には豹の尻尾が…
 これこそは人ならざる姿で生まれし厄災、重き滅びの運命を背負う「魔星(メテオラ)」と呼ばれるモノ、と周囲が止めるのも聞かず、その赤子を王進は我が元に引き取ることになります。

 時は流れ、林冲と名付けられた赤子は「人間」として逞しく成長し、今は王進の家の近侍頭として忙しく働く毎日。常に豹の毛皮を身につけていることから「豹子頭」と呼ばれる林冲は、しかし、豹の尾を隠し持ち、そしてその気が昂ぶるところ、豹の顔が浮き出す異形の漢だった――!


 と、なるほどこう来たか! と冒頭から唸らされた第1回。
 確かに水滸伝に登場する好漢たちの渾名は、動物由来のものが少なくない(大まかに数えて108星の1/3程度)わけですが、しかしそれでもまさか林冲が、というのは大いに意外であります。

 これだけ意外に感じるのは、一つには私が「ネリヤカナヤ」を読んでいたことも大きいでしょう。
 冒頭に述べたとおり、本作のベースとも言える同作もまた、主人公は豹子頭林冲――それも本作とほぼ同じキャラクターデザインではありましたが、しかしそちらの林冲は、尚書省刑部長官付きの間者(巡視官)というアレンジが加わっていたものの、あくまでも普通の人間。当然本作も大体は同じだろう、などと思っていたところに、思い切り不意を――もちろん、嬉しい形で――突かれた気分なのであります。

 しかし、本作のタイトルとなっている「魔星(メテオラ)」とは、何とも気になる存在です。
 原典でも「(魔)星」の概念は、冒頭や108人集結のくだり等、要所に登場しては来たものの、実のところ、それほど重きをなしていたとは言い難い設定。そこに、人ならざるモノという属性を与えることで、明確に本作における魔星たちは、人々から畏怖を以て仰ぎ見られ、同時に人々から恐怖を以て追われる存在と為らざるを得なくなったのであります。
 もちろんそれは、原典の108星においても共通する要素ではありますが、それをより根源的な形で示してみせた点が、本作ならではの工夫ではありますまいか。


 正直なところこの第1回はまだまだ導入部、林冲の存在を含め、その世界観の一端が示されたのみであります。
 果たして物語展開がこの先「ネリヤカナヤ」と同様のものとなるのか、それはもちろんまだわかりませんが、しかし最初からこうして全く未知の要素が提示されている以上、この先を期待するな、という方が無理でしょう(ラストにはあの破戒僧も登場しましたしね!)
 新たなる「水滸伝」の誕生を大いに喜びたいと思います。


 ちなみに本作の林冲、気を抜くと尻尾が飛び出すという、実にズルい設定。こりゃあ破戒僧に引っ張り回される姿が目に浮かぶ…


「メテオラ」(琥狗ハヤテ エンターブレイン「B's-LOG COMIC」第6号)


関連サイト
 pixivコミック

関連記事
 「ネリヤカナヤ」第一巻 ユニークな試みの水滸伝記
 「ネリヤカナヤ 水滸異聞」第2巻 帰ってきた林冲!
 「ネリヤカナヤ 水滸異聞」第3巻 正義が喪われる日

|

« 「江戸忍法帖」 そして江戸から柳生へ? | トップページ | 「ダッチ・シュルツの奇怪な事件」 クトゥルー+ギャングの伝奇ホラー再び »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/57737262

この記事へのトラックバック一覧です: 「メテオラ」連載開始 異形の魔星、豹子頭林冲降臨!:

« 「江戸忍法帖」 そして江戸から柳生へ? | トップページ | 「ダッチ・シュルツの奇怪な事件」 クトゥルー+ギャングの伝奇ホラー再び »