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2013.08.09

「どろろとえん魔くん」第1巻 名作の後日譚? 前代未聞のコラボ登場

 手塚治虫と永井豪の、二大妖怪退治漫画が夢の競演! …という枠では色々と収まらないような気がする問題作「どろろとえん魔くん」の単行本第1巻が発売されました。タイトルどおり、戦国時代にどろろとえん魔くんが妖怪退治の旅を繰り広げる連作シリーズであります。

 いまさら言うまでもありませんが、「どろろ」は、戦国時代を舞台とした妖怪退治ものの名作。48の魔物に体の48箇所を奪われた剣士・百鬼丸と放浪の盗賊(実は女の子)のどろろのコンビが戦国を流離う、独特の暗く殺伐としたムードが印象に残る作品です。

 そして本作は、この「どろろ」のいわば後日譚と言うべき作品。「どろろ」のラストで彼女の前から百鬼丸が姿を消して数年後、服装は変わらぬまま美しく成長したどろろが、百鬼丸を探し求めて妖怪退治の旅を続けていたところに…という、なかなかにそそる設定であります。
 が、そこに彼女の相棒的な顔で現れたのがえん魔くん。言うまでもなく彼は「ドロロンえん魔くん」の主人公、地獄の閻魔大王の甥っ子であり、人間界を妖怪から守るために現代日本で戦っていたはずの彼が何故…(もっとも、関東平野で暴力の巨人と戦ったりもしていましたが)
 というツッコミをする暇も与えられず、どろろとえん魔くんのコンビによる妖怪退治が始まることになるのであります。

 さてそんな本作、物語のムード自体は(どちらかと言えば)「どろろ」的な暗さを感じさせる内容といえなくもありません。
 ほとんど全てのエピソードで登場する妖怪の正体や出自、あるいはその妖怪が登場する物語展開の背景として描かれるのは人間のエゴや欲望。そうした人間の暗い部分が引き起こした事件に、二人は巻き込まれることとなるのですが…
 えん魔くんがいる時点で大体予想はつくと思いますが、基本的に物語はギャグ方面、エロ方面に転がっていくのが本作らしいと言うべきかどうか。

 冒頭の巨大な口と触手の妖怪「口神さま」のエピソードなどは(特にどろろを騙して生贄に差し出す村人のエゴっぷりもあって)なかなかに「らしい」のですが、巨乳に取り憑く妖怪や男の○○○だけの妖怪などをなんと評すべきか…イヤハヤなんとも、ここは手塚プロの度量の広さを賞するべきでしょうか。

 と思ったら、巻末の永井豪・手塚眞対談によれば、そもそも本作の企画のきっかけはダジャレ(それも手塚プロ側の)だったとのこと。確かに、妙にゴロの良いタイトルではありましたが…
 やはり本作の場合、あまり構えずに肩の力を抜いて接するのが正しいのでしょう。
 個人的にはどろろがやたらと弱い(というよりえん魔くんのステッキが強すぎる)のが気になりますが、先に述べたとおりそれなりにムードのあるエピソードもあり、脱力しつつも嫌いになれない作品ではあります。

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