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2013.08.21

「浣花洗剣録」第35集 寛容に生きること、自由に生きることという難しさ

 そろそろクライマックスなのですが、微妙に静かな展開の「浣花洗剣録」、久々に登場した酔侠・金祖揚に何だかとんでもない秘密があったと思えば、相変わらず方宝玉は悩みっぱなし。侯風と白水聖母(白艶燭)と出会ったことでそれは治まるどころかいよいよ面倒な方向に…

 木郎神君に奔月を人質に取られ、ネチネチといびられた末に、三ヶ月以内に侯風と聖母の首を取ってこいと命じられた宝玉。放浪の末に自分にとっては師にも等しい金祖揚のもとに身を寄せたものの、そこで頭の侯風と艶燭と出くわしてしまったのはいかにも気まずいところであります。
 艶燭はさすがに母だけに宝玉が悩みを抱えているらしいことに気づき、侯風もまた、愛娘の奔月が宝玉とともにいないことを訝しむのですが…そこで侯風が折れた奔月の刀を宝玉が持っていたのを見つけてしまい、事態はいよいよ面倒なことに。

 剣を片手に詰め寄る侯風に、「そうやって父も殺したんですか」と返すのは宝玉にしては上出来ですが、しかしさすがにタイミングが悪い。ついに始まってしまったガチの斬り合いは、艶燭と金祖揚が割って入って事なきを得るのですが、ここでようやく宝玉は奔月が錦衣衛の人質となったことを語るのでした。ただ一つ、自分も錦衣衛となったことは伏せて…

 ちなみに白艶燭、聖母と呼ばれたり艶燭と呼ばれたりまちまちなのですが…てっきり本名だと宝玉が母だと気づいてしまうから伏せてるのかと思いきや、普通に宝玉の前でも艶燭と呼ぶ場面もあるし、宝玉も気づいてないというのが、ちょっと不思議ではあります。

 閑話休題、奔月は救い出すとして、目下の金祖揚の悩みは、この地の周囲をうろつく武林の連中のこと。町まで探りに出る金さんの使用人についていった宝玉ですが、木郎らの襲撃を受け、使用人は捕らえられてしまいます。激しい拷問を受けたところを、脱塵郡主に救出された使用人ですが、これは脱塵の行動までも読んだ上での木郎の作戦。逃がして本拠地を突き止めようというやつです。

 そして酒池肉林に帰って来た使用人は、宝玉が錦衣衛だと糾弾。やむなくそれを認める宝玉ですが――この時の金祖揚・侯風・艶燭の、宝玉に向けた視線が本当にヒドい。冷たいというか心が全く籠もっていないというか理解できない存在を見るようなというか――
 魔教よりも錦衣衛は厭われる存在なのか、とも思いますが(まあ、武林的にはそうかもしれませんが)、ここはむしろ、今の武林で精神的にも立場的にも最も自由であり、李懐があるはずの三人ですら…という、人間のどうしようもない業を見るべきなのでしょう。
 人が自分たち以外の集団に寛容となること、自分たちを縛る規範が絶対ではないと理解することがどれだけ難しいことか、本作において陰に陽に、これまで幾度となく描かれてきたものの、ある意味集大成とも言えましょうか。

 と、なぜ隠していたかという事情も含めて宝玉が説明したことで、ようやく最悪の誤解は解けましたが、しかし金祖揚は宝玉をその場から追放します。ただ一人奔月を取り返す覚悟を固めた宝玉を、一人の男と認めて、艶燭と侯風は見送るのでした(が、直前の侯風のめっちゃ冷たい視線が脳裏に焼き付いていて今一つ素直に見れない…)。まあ、女のために道を誤ることについては大先輩だからな!

 そして、錦衣衛が攻めてくる前に酒池肉林を捨てた金祖揚と侯風、艶燭は、金祖揚が仕える先である剣閣に身を寄せようとするのですが…なんと金さんもその場所を知らない。
 何でも指定された場所に欲しいもの書いたメモと地図を持った伝書鳩が飛んできて、その場所に品物を持って行くといつの間にか消えているという…剣閣の人は出前とAmazonで生きてる人か!?
 さらに、最後に注文があったのは七年前とか怖いことを今頃言い出す金さん。それはどう考えても…という感じですが、何とか乏しい手がかりで一行は剣閣に向かうのでした。

 一方、酒池肉林を占領した錦衣衛。白三宝は木郎に対し、何故金祖揚にこだわるのか訪ねます。それは…と木郎が口を開きそうになったところというあんまりなタイミングで次回に続きます。


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