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2013.08.03

「BRAVE10S」第4巻 もう一人の十勇士、そして崩壊十勇士?

 上田城十番勝負も怒濤の急展開の末に終了し、いよいよ目前となった東軍と西軍の激突。そんな中、十勇士の弁丸が突然幸村の養子になるという驚愕の展開で終わった前巻ですが、しかしその先に待ち受けていたのは更なる驚愕の展開であります。新たな十勇士、その名は何と…

 幸村と信幸の意地の張り合いから始まったものの、途中で乱入してきた伊達政宗の配下に信幸側の残り選手は全員潰され、急遽真田vs伊達の勝負に変更となった上田城十番勝負。しかしこの十番勝負も、徳川家康が上杉討伐の命を下したことで中途で終結となります。
 言うまでもなくこれは後世で言う関ヶ原の戦の始まりを告げるもの、その結果が真田家に及ぼした影響もまた甚大なものがあったわけですが――その前に、本作においては真田家に、いや十勇士に大激震が走ることとなります。
 その才を見込んで、(いきなり)真田幸村の養子となった弁丸こと望月六郎。改めたその名は「真田大助」! というのには痺れますが、冷静に考えれば、弁丸が真田家の人間となったことで、真田に仕える十勇士に欠員が出ることに…(まあ、大助が十勇士の作品もありますがそれはさておき)

 と、ここで幸村がスカウトしたのは、なんとなんと服部半蔵。無印「BRAVE10」において幾度となく真田を――いや、伊佐那海の持つ力を狙い、才蔵と対決した最強の忍びであります。
 本人が言うには、独断専行が過ぎて家康にクビにされ、今は求職中の身の上。雇い主が替われば前後の恩讐はノーサイドというのは戦国の習いではありますが…これは幸村が太っ腹というよりさすがに無神経に過ぎるのではありますまいか。

 と、ここで生じる十勇士分裂の危機。かつて半蔵に(ほぼ恫喝の形で)操られたアナ、彼女に惚れる甚八、半蔵に命を狙われた伊佐那海、彼女を守って半蔵と戦ってきた才蔵――彼らの感情が一気に爆発し、上田は大混乱。
 才蔵は苛立ちのまま、絡んできた鎌之介に深傷を負わせたのはともかくとして(まあこれは自業自得)、アナの心情を弄ぶかのような幸村に怒りを爆発させた甚八は、幸村に拳を叩きつけ、阻もうとした六郎・十蔵・清海と激突することになるのであります。


 これからが真田の正念場というところでの言うなれば仲間割れでありますが、しかし見方を変えてみるとこれが実に面白いのです。
 元から真田の家臣であった佐助・六郎・十蔵と、伊佐那海のいる所であればどこでもついてくる清海は格別、その他の面々はある意味成り行きで真田に身を寄せた者たちであり――その彼らが、今回半蔵の登場に取り乱し、あるいは暴走したというのは、決して偶然ではありますまい。

 それぞれが根源の力を持ち、真田に集った十人の勇士といえども、その想いは様々。今回のように一箇所突かれれば簡単に崩壊するような有様では、これからの決戦でとてもやってはいけないでしょう。。
 おそらくは今回の十勇士たちの動揺と激突は、彼らの絆をもう一度見直し、そしてより強いものとするための通過儀礼なのでありますまいか。
(個人的には、以前あれだけ豪快に裏切ったアナが真田にあっさり戻った点に納得できなかったので、それを今回掘り下げてくれただけでも面白いのですが)

 この巻のラストでようやく我を取り戻した才蔵。彼の下に十勇士が再度結束した時こそが、本当の決戦の始まり。その時が早く来ることに期待したいところですが――

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