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2013.09.24

「浣花洗剣録」第40集(その二)&まとめ 自由を求める者たちの戦い

 さて、「浣花洗剣録」最終回感想の続き&全体を通しての感想であります。

 見事な合体攻撃で木郎神君に必殺の一撃を送った呼延大臧と方宝玉。
 が、もう一歩のところで木郎は(先ほど大臧が床を切り落とした)高楼の向かい側に逃れ…なんと周囲の錦衣衛たちを次々と投げつけるという無茶苦茶な攻撃。何となくアクションRPGのボスの第二形態の攻撃という感じであります。しかし所詮はザコキャラの直線的な攻撃、主人公二人には通用しない…と思いきや、飛ばした錦衣衛に隠れての木郎の一撃を食らい、ダウンを喫する二人。

 既に力を使い果たし、立ち上がれない二人に迫る木郎――とその時、大臧が壊した高楼の下から飛び上がってきた脱塵郡主が木郎の無防備な背中を刺す! 信じられぬように倒れた木郎を抱きしめ、一人では逝かせないと自らの胸に剣を突き立てる脱塵…ああ、この二人はこれ以外の結末はないだろうと考えておりましたが、やはりその通りになってみるとあまりに哀しいものであります。

 が、その余韻に思い切り水を差すのは、周囲にボーッと突っ立った生き残りの錦衣衛たち。木郎たちに駆け寄るなり、大臧たちを攻撃するなりしましょうよ…錦衣衛を先に全滅させておかなかったのは大失敗としか。


 それはさておき、木郎との戦いからどれだけたったのか、二人の間柄を清算しようというのか、寸止めで決闘を行う大臧と宝玉。と、宝玉の剣が大臧の一刀を断った時、中から現れたのは大臧の師・公孫梁(日本名:ささきこじろう)の手紙でありました。
 大臧の父との因縁を語り、もはや遺言に縛られることはないという手紙に、ようやく大臧を縛るものはなくなったのであります(しかしこの手紙、師が読み上げる中、水辺に向かってヒラヒラ飛んでいくので本当に大臧が読めたのか心配に。それ以前に、どうやって刀身に手紙を仕込んだというのか!)

 そしてそれぞれの道を歩み出す二人――奔月を傍らに置いた宝玉は侯風を後見に武林再興に尽力し、大臧は珠児を連れ、全ての物語の始まりとなったあの二本の宝剣と共に実父の墓参りに現れ――ここに「浣花洗剣録」全編の完結であります。


 というわけで完結した「浣花洗剣録」を振り返ってみますと――まず真っ先に思い出すのは、冒頭の珍妙な日本語なのですが、そうしたところどころにツッコミどころはありながらも、想像以上によくまとまった物語だったという印象があります。

 モブの少なさや大がかりなセットの少なさなど、予算的には苦しかったのではないかな…という印象はあったものの、その辺りは物語上の仕掛けよりも、キャラクター、それもキャラクター同士の関係に重点を置くことにより、うまくかわしていた印象すらあります。
 その最たるものが終盤の剣閣と羅亜古城で――まさかあれだけ引っ張っておいて剣閣は一瞬(さらにいえば残る6本の宝剣も一種)、羅亜古城に至っては会話の中で済まされ、最後まで登場しないほどだったのですが…
 しかし物語の重点が宝探しや宝剣争奪戦には既になく、大臧や宝玉と木郎の対決に――言い換えれば、自由な生き方を求める者とそれを阻もうとする者の戦いに移っていたことだけは間違いありますまい。
(しかしその阻む者の代表となった木郎が、なぜそこまで権力の座に固執し続けたのか、彼の出自も含めて語られなかったのには不安はありますが)

 そう、作中であまり大上段に語られることはなかったように思われるものの、本作のテーマの一つは、「自由」ではありますまいか。
 正派や魔教といった一種イデオロギー的な対決に巻き込まれ、そしてそれすらも上回る権力と直面し…大臧や宝玉、さらには侯風や木郎たちも含めて、皆なにがしかの束縛を受ける中でいかに自分らしく生きていくか――それに自覚的であった者、いなかった者それぞれではありますが、彼らのコンフリクトから生まれるダイナミズムが、物語の原動力であったと感じます。

 もっとも、それが 武侠もの――というよりむしろ伝奇ものとしての興趣を削ぐ面もあったのもまた事実で、その点は痛し痒しではありますが…
 しかし、最後の最後までキャラクター同士のコンフリクトを中心に完走しきったのは、評価するべきでありましょう(堂々巡り的展開も散見されましたが…)

 まずは全40話、楽しく見ることができました。これで原作も邦訳されれば言うことなしなのですが――というのは古龍作品の場合は贅沢に過ぎますね、はい。


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