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2013.11.25

「友を選ばば柳生十兵衛」 快作の理想的文庫化

 荒山徹の「友を選ばば」が、「友を選ばば柳生十兵衛」のタイトルで文庫化されました。あの衝撃の宣言が行われた「柳生大戦争」のように、講談社文庫版の荒山作品は本編以外も凄いのですが、本作もあとがきと解説はファン必見の内容であります。

 本作は、あの「三銃士」「四銃士」のダルタニャンが、海を渡ってきた謎の(改題で謎でなくなってしまいましたが…)隻眼剣士・ウィロウリヴィングとともに、あっと驚く巨大な陰謀に挑む愛すべき伝奇活劇。
 作品そのものについては(今回は加筆修正されているものの)以前に紹介しておりますので今回は詳細は省きますが、やはり設定を聞くだけで胸躍る作品であることは間違いなく、私も大好きな作品です。

 さて、今回紹介したいのは、冒頭に述べたとおりファン必見としか言いようのないあとがきと解説であります。

 まずあとがきですが、なんと言っても冒頭から驚かされるのは、「荒山徹は親韓か嫌韓か?」という、読者が一度は気になるであろう疑問に、作者自らが明快に、回答を提示している点でありましょう。
 その回答の内容についてはぜひご自分でご覧いただきたいのですが、なるほど考えてみれば「これ以外はない」としか言いようのない納得の内容。今まで荒山作品を読んでいて、宗旨替えでもしたのでは…と心配になることもありましたが、一本筋の通った回答に、(何故か)安心してしまった次第です。

 と、それを前フリに続くのは、本作がそもそも何故朝鮮ものではなく、そしてダルタニャン×柳生十兵衛という趣向となったのか、という解説。
 これがまたノリに乗った時の調子で
「伝奇時代小説の囚人(終身刑)」
「李朝鉄仮面伝奇」
「ニャン対ベエ」
といった怪ワードも飛び出すのですが、しかし根底を貫くのは、「三銃士」に対する、そして伝奇ものに対する作者の深い愛情。
 こうして申し上げるのもまことに僭越ですが、やはり子供の頃から「三銃士」に親しみ、そしてもちろん時代伝奇に耽溺する身として、強く強く共感できる内容であります。

 …それにしても悔やまれてならないのは、先日「韓流夢譚」の紹介の際に「誰も止める人がいなかったのか」などと失礼極まりない文章を書いてしまったことであります。
 いや、もう止めません。止めてはなりません。本作のあとがきは、素直にそんな気持ちになれる、作者の勢いと愛が感じられる文章なのです(もちろんそこにはある種の韜晦が含まれていることと思いますが…)。


 そして解説のほうは、こちらは仏蘭西文学評論家による作品解題…なのですが、(その名前はさておき)まず受けるのは、「最近の仏文学評論家は時代もの、伝奇ものにずいぶんとお詳しいのだなあ…」という印象。
 作者の作品に対する接し方といい、作品の題材に対する造詣の深さといい、正直に申し上げて私の及ぶところではないほとんどベテランの文芸評論家クラスの内容に、ほとほと感服いたしました。

 そこまで書いてしまうのですか!? と驚くほどの元ネタ解説は若干やりすぎ感もありますが、あのあとがきにしてこの解説ありともいえる内容であります。


 というわけで、本作の既読者もぜひ手にとって読んでいただきたいあとがきと解説――ある意味、文庫化の理想的な一冊であります。


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友を選ばば柳生十兵衛 (講談社文庫)


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